膵がんは難治がんである.手術可能な膵がんやそのリスク集団を囲い込みができる血液バイオマーカーを開発できれば,効率的な膵がん検診法の開発につながり,死亡率を減少できる可能性がある.膵がん患者とそのリスク集団,類縁良性疾患,健常者の血液中の循環ペプチドを網羅的にスクリーニングし,膵がんならびにそのリスク集団でapolipoprotein-A2二量体のC末端アミノ酸が特殊な切断を受けることを発見した(apolipoprotein-A2 isoforms; apoA2-i).同知見を臨床応用するために,apoA2-iの切断状態を定量分析するenzyme-linked immuno-sorbent assay(ELISA)検査系を構築し,その臨床開発を進めている.
体外診断用医薬品(in vitro diagnostics; IVD)新規測定項目の薬事承認取得には,臨床性能試験が必要であり,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, PMDA)とプロトコル相談を経て臨床性能試験を実施する.がん早期発見に資するバイオマーカーを社会実装するために「がん早期発見迅速検証プラットフォーム(Platform of Evaluation for Biomarker of Cancer Early Detection, P-EBED)」を構築し,バイオマーカーシーズの臨床性能検証やIVD申請支援を開始した.
本稿では,上記について概説する.
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