2023 年 8 巻 1 号 p. 1-11
世界的な潮流として研究データの共有が進んでおり,プロテオームのデータも例外ではない.本稿では ProteomeXchange Consortium(PXC)による世界におけるプロテオームデータ共有の現状と,日本から PXCに参加している jPOSTについて紹介する. PXCによってデータ共有の基盤は整備できたが,現状 PXCに集まっているデータセットはデータを説明するメタデータが十分ではないため,第三者が再利用する上での障壁となっている.そこで共有したデータセットをより再利用しやすくするために,詳細なメタデータを集める工夫について紹介する.また,データを効果的に共有するために必要な規格の標準化について検討を行っているヒトプロテオーム機構のプロテオミクス標準化分科会 HUPO-PSIについて,その目的や最新の活動状況について報告する.さらに,近年注目を集めているヒトプロテオームデータの取り扱いについて,現時点での状況について紹介する.