2023 年 8 巻 1 号 p. 19-33
疾患時に生じる内因性代謝物の変動解析は,診断バイオマーカーの探索や病態分子機構の解明に有用である.ニーマンピック病は,発症時期や臨床症状が多様な指定難病である.従来の検査法に課題があったため,我々は本疾患群のバイオマーカー開発研究を行ってきた.尿中の抱合型コレステロール代謝物に着目し, LC-MS/MSを用いてそれらを解析した結果,数種の代謝物が診断マーカーとして有用であることを見出した.また,欧米でスクリーニングに利用されていた血中の未知分子 lysosphingomyelin-509について,ミクロケミカルな方法により,その構造決定に成功した.さらに,リゾスフィンゴミエリンとの同時分析によるニーマンピック病新規診断ストラテジーを提案した.以上の結果より,疾患診断バイオマーカーの開発に内因性代謝物の LC-MS/MS分析は有用であると考えられた.