日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
総合論文
標的プロテオミクスによるタンパク質絶対定量の基礎と応用
大槻 純男
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2023 年 8 巻 2 号 p. 35-42

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抄録

標的プロテオミクスは標的とするタンパク質のみを質量分析で測定し定量をおこなう技術である.感度や定量性,スループットにおいてノンターゲットプロテオミクスより優れた性能を有する.ノンターゲットプロテオミクスで同定した候補タンパク質群をさらに高精度に定量する技術として両プロテオミクスは補完的関係である.さらに,高特異性や多分子定量の点で抗体によるタンパク質定量に対して優れた点を有するため,抗体がないタンパク質の定量に有効である.このような特徴のためバイオマーカー候補分子の検証や翻訳後修飾タンパク質の定量などに利用されている.一方で,標的プロテオミクスの実施においてはノンターゲットプロテオミクスとは異なるノウハウが必要となる.そこで,本総合論文では標的プロテオミクスの概要と実施における注意点などの技術的基礎をまとめるとともに標的プロテオミクスを応用した我々の成果について紹介する.

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© 2023 日本プロテオーム学会
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