人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
Print ISSN : 0386-8311
ISSN-L : 0386-8311
論文
人口データとスプライン補間
南条 善治
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 10 巻 p. 43-53

詳細
抄録

スプライン補間法とその1次元人口データへの適用例はH. S. Shryock, J. S. Siegel等やD. R. McNeil等によって,紹介された。その方法は極めて有用であるにもかかわらず,その後よりくわしい紹介はなされなかった。実際,上述のもの以外にもスプライン関数を用いた別のタイプの補間又は平滑化補間公式が多くある。これらのうち人口データへの応用に有用と思われる1次元,2次元の公式とそれらの応用例を少し整理した形で紹介する。ここに述べる公式は次の5種類である。(a)3次スプライン補間,平滑化補間,(b)B-スプライン補間,平滑化補間,(C)有理式スプライン補間(Spathによる),(d)区分的3次関数による準エルミート補間(Akimaによる),(e)区分的3次関数による自動的平滑化補間(吉本等による)(c)は1次元データ用の公式のみである。(d),(e)では補間関数及びその1次導関数の連続性を仮定している。(b)は一般的で有用なものであるが節点の決め方などは熟練を要し,利用は簡単とは言えない。(a)は(b)の特別な場合であるが,一般に精度も良く使い易いため,広く利用されている。しかしデータによっては好ましくない結果を与えることもある。この様な時(e)-(e)は比較的簡単であり,(a)の欠点を補う方法として用いられる。応用例としては,(1)生命関数特に生存数(l_x),死亡率(q_x)の補間,平滑化。(2)母の年齢5歳群別出生数(又は率)の各歳出生数(又は率)への補間。(3)死因別,年齢5歳群別死亡数の各歳死亡数への補間。(4)2次元(年次別,年齢別)人口データ(例えば死亡率又は平均余命)の補間,平滑化補間。ついで各種の人口データのcontour mapおよびスプライン曲面の作成は今後の興味ある問題であろう。我々がこれらの公式を用いる時は,データが1次元であっても,2次元であっても,ある意味のモデルを仮定していることになり,この仮定の下で補間,又は平滑化補間がなされるのである。またxについてk次,yについて1次の2次元のB-スプライン関数を用いる補間,平滑化補間公式を2次元人口データ適用することは興味ある問題であり,今後議論されるべきである。また2次元人口データとして,年次別,年齢別人口の補間を扱う場合,コーホート別の補間を考慮する方がよい場合もあるであろう。

著者関連情報
© 1987 日本人口学会
前の記事 次の記事
feedback
Top