人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
Print ISSN : 0386-8311
ISSN-L : 0386-8311
論文
未婚女性の労働供給に関する分析 : 親との同居は労働供給に影響を与えているか
高田 しのぶ
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 37 巻 p. 31-46

詳細
抄録
本研究は,家計経済研究所『消費生活に関するパネル調査』を用い,未婚女性の親との同居,親の年収が労働供給に影響を与えているかどうかを検証したものである。親との同居は,未婚女性の労働供給を減少させている。しかし,親との同居が労働供給を減少させる理由は年齢によって違ってくる。親が若いうちは,両親と同居していることにより,両親の援助のもとで,労働供給を減少させているが,この状態をいつまでも享受できるわけではなく,親が歳をとってくると,父親の世話をすることにより,労働供給が減少してくる。また,親の年収は労働供給には影響を与えない。つまり,未婚女性は,非勤労所得として親の年収を自由に使えるという状況にはない。結論としては,パラサイト・シングルとして親との同居により,労働供給が減少するということは,若いうちにはみられるが,親が歳をとるにつれこの効果はみられなくなり,父親の世話をすることにより労働供給が減少してしまう状況になるといえる。
著者関連情報
© 2005 日本人口学会
前の記事 次の記事
feedback
Top