人口学研究
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学界展望・学会消息
私たちは歴史から学べるだろうか : 気候・飢饉・疫病 : 国際人口学セミナー・シンポジウム報告
黒須 里美
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2009 年 45 巻 p. 61-66

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抄録

私たちのまわりには,今も昔も,さまざまな「危機」が存在している。金融危機,食物価格の変動,凶作,政変,戦争などによって生じる社会的,政治的,経済的変化,そして津波,洪水,台風,地震などの自然災害。このような多岐にわたる急激な変化には,ある程度予測可能なものもあれば,不可能なものもあり,それにたいする人々の人口学的行動も様々である。麗澤大学において2009年5月21〜23日に開催された国際人口学会(IUSSP)セミナーとそれに続く公開シンポジウムでは,多岐にわたる危機と人口学的動向の関係をめぐる,長期的・比較的視野に立った最新の研究成果が報告・議論された。新型インフルエンザに対する脅威が高まりはじめ,日本政府が海外からの感染を防ぐ水際対策に躍起になっていた5月である。シンポジウムにおいて「スペイン・インフルエンザ」の報告を全員がマスクをつけて聞くという想定のもと,その準備もされていたがそれは避けられた。しかし組織者の予想以上にタイムリーな研究テーマとなった。本稿ではIUSSPセミナーとシンポジウムについて,その経緯と内容を報告する。

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© 2009 日本人口学会
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