日本物理学会講演概要集
Online ISSN : 2189-0803
ISSN-L : 2189-0803
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力学モデルによる剣道動作の原理解明とその実践指導への活用
坂井 伸之竹田 隆一牧 琢弥
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抄録

「タメ」とは何か? 「力を抜け」とはどのタイミングでどこの力を抜くのか? 武道・スポーツにおける指導言語の多くは抽象的・感覚的であり、真の意味や科学的根拠が曖昧である。複雑な動作を科学的に理解するためには、実験だけに頼るのではなく、単純なモデルに還元し、力学法則に基づいて理論的に分析する必要がある。我々はは、単純な剛体モデルと力学法則に基づいて、面打ちの基本動作の原理を考察した。そして、「右足の振り上げ」「上肢の良い姿勢」「すべり」「継ぎ足」等、従来から経験的に言われてきた指導言語の意味と根拠を力学的に明らかにした。 なお、以前に本学会でスポーツ動作に関する発表をした際、「そのような研究は別の学会で発表すべきである」という批判的なコメントがあった。一般に物理教育の対象は、「高校や大学の物理の授業に関するもの」と考えられているのかもしれない。しかし、物理の授業に関する研究は、物理を履修しない生徒には無力である。我々の目標は、物理学に基づいた指導法を体育や部活動で活用することであるが、結果として、そこに参加する生徒に物理学の意義と面白さを知ってもらうことにもなる。我々は、そのような広い意味での物理教育、あるいは真の意味での総合的学習の実践を目指している。

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