主催: 一般社団法人日本物理学会
会議名: 2017年度日本物理学会第72回年次大会
開催日: 2017/03/17 - 2017/03/20
核生成過程は、理工学の幅広い分野で重要なプロセスであるが、分子レベルでの理解は未だ限られている。これまで我々は希ガスや水分子に関して気相から液相への核生成過程の分子動力学(MD)シミュレーションを行い、相変化の様子を調べてきた(Diemand et al. J. Chem. Phys. 139, 074309, 2013, Tanaka et al.,J.Chem.Phys. 140, 11432, 2014,Angelil et al. 143, 0640507, 2015). 本研究では大規模並列計算用の分子動力学計算コード(LAMMPS)を用い、国内外のスーパーコンピュータ(チューリッヒ大、国立天文台)を利用し、3重点以下の温度における気相から固相への核生成過程の分子動力学(MD)シミュレーションを行った。まず気相ガスから準安定相である過冷却液滴へ核生成し、その後に過冷却液滴内の一部で核生成が始まり短時間で全体が結晶化する様子が得られた。液滴の結晶化はすぐには起きず、ある程度大きく成長してから起きること、生成されたナノ結晶は5回対称性を持つ正20面体、十面体の準結晶とfcc,hcp結晶が混在していること、また結晶化する際には蒸発を伴うことなどが明らかになった。