抄録
目的:全国の理学療法士養成施設における呼吸器および循環器理学療法の卒前教育の現状を調査すること。方法:養成施設266校を対象に,呼吸器・循環器理学療法の授業に関するオンラインアンケート調査を実施した。結果:回収率は48%(128/266校)。70%の養成施設は呼吸器・循環器理学療法が同一科目で,授業時間は平均7.5時間と限られていた。科目責任者の認定・専門理学療法士の取得率は40%であった。授業の到達目標はコアカリキュラムの学習目標に準じていたが,認定・専門理学療法士未取得者の多くが,「臨場感を十分に伝えられない」,「症例の画像や具体的な病態に関する資料を持ち合わせていない」などの課題を抱えていた。結論:卒前教育の限られた時間の中で,呼吸器・循環器理学療法の専門性が高い臨床現場の理学療法士による講義,教員に対する支援として授業資料の共有,授業形態の再検討などの課題が示された。