抄録
日本の宿泊客数は増加しているが、旅館の宿泊客数は減少しており旅館離れが進んでいる。旅館離れの理由のひ
とつに、旅館が従来から提供しているサービスが宿泊客に求められなくなったにもかかわらず、改善されないままサービス提供が続けられていることが指摘されている。本研究では、旅館の組織内でサービス改善等の必要性の認識や取り組みができない要因があると考え、Parasuraman et al.( 1985)が提示したギャップモデルを旅館に適用し、旅館の組織内のギャップが起こることについて仮説を導出することを試みた。調査では、改善に取り組んでいる旅館にインタビューし、反証として3つの仮説を導出し、各仮説の関係性を示した。今後、導出した仮説を検証することにより、旅館の経営者が組織内でギャップが発生する箇所や要因を理解し、サービスの改善につなげることができると考える。