2023 年 2 巻 1 号 p. 10-17
【目的】歩行能力と転倒関連自己効力感の両者の評価が転倒予測精度の向上に寄与するかを検証した。 【方法】地域在住自立高齢者280 名に,快適・最速条件の歩行速度,短縮版Falls Efficacy Scale-International (Short FES-I)をベースラインで評価した。また,歩行速度の結果から歩行予備力を算出した。さらに,併存疾患数,服薬数,IADL,過去の転倒歴も調査した。ベースライン調査から1 年後に追跡調査を行い,転倒の有無を調査した。転倒と各因子の関連性は決定木分析にて分析した。【結果】転倒には,過去の転倒歴,疾患数,年齢に加え,歩行予備力とShort FES-I の両者が有意に関連した。これらの因子による転倒発生の識別精度は,感度62.5%,特異度92.0%だった。【結論】歩行能力と転倒関連自己効力感の両者の評価が正確な転倒リスクの評価に繋がる可能性がある。