【目的】地域在住高齢者における座位バランス低下と立位バランス低下や転倒要因との関連を検討する.【方法】歩行可能な高齢者50 名を対象に,立位・座位での静止時の圧中心点(COP)の総軌跡長,前後左右へのCOP 最大移動距離を測定した.他に,最大歩行速度,長座位体前屈,筋力を測定した.転倒群と非転倒群に分けて比較し,測定項目間の関連は相関係数を用い,因子分析を行った.【結果】転倒群では非転倒群より有意に身体機能が低下していた.COP 最大移動距離は,後方を除いた同一方向の座位と立位において相関が認められ,前後より側方でより高い相関を示した.因子分析では,立位・座位バランス低下は筋力低下とは独立した因子であった.【結語】 座位バランスは立位バランスと関連があるが,筋力とは独立していた.座位バランス低下は転倒要因とは直接的に関連しているとはいえないが,姿勢や立位バランス機能と関連することが示唆された.