2024 年 4 巻 1 号 p. 34
【背景】根拠に基づく事業計画や実施の改善は , 行動変容の介入を成功させるために重要である 。 改善には , 対象行動の分析に結びつく介入の考案と方向付けする適切な方法が必要である 。 しかし , 行動変容に対する フレームワーク ( 行動の分析 , 事業計画 , 実施に対する理論的枠組み ) は数多くあるが , それらが行動変容 の介入成功にどの程度適合しているか不明である 。 本研究は , 行動変容の既存フレームワークを評価し , そ れらの限界を克服する新たなフレームワークを開発し , 評価することを目的とした 。 【方法】行動変容のフ レームワーク特定のため , データベースの系統的検索と行動変容の専門家との協議を行った 。 フレームワー クは ,3 基準 ( 包括性 , 一貫性 , 広範な行動理論との関連性 ) で評価し , 基準を満たす新しいものを開発し た 。 タバコ規制と肥満の領域で新たなフレームワークの適用について信頼性を検討した 。 【結果】 9 の介入 と , 介入を可能とする 7 の政策分野を網羅した 19 のフレームワークが特定された 。 いずれも介入や政策分 野の全範囲は包括せず , 一貫性と行動理論との関連性の基準を満たすものも少なかった 。 新たなフレームワ ークの中心には , 能力 (Capability), 機会 (Opportunity), 動機づけ (Motivation) の必須条件 3 つを含む 行動システム (COM-B) があり , 「行動変容の輪 (Behaviour change wheel: BCW) 」の中核を形成する 。 そ の周囲には 1 つ以上の行動変容の条件欠乏への対応を目的とした 9 つの介入が配置される 。 BCW は , 英国 保健省の 2010 年タバコ規制戦略や国立医療技術評価機構の肥満削減に関するガイダンスにおける介入明確 化のために使用された 。 【結論】行動変容に対する事業計画や実施は ,COM-B を中核とした BCW で有効に 明確化できる 。 今後 ,BCW がどの程度効果的介入の効率的設計につながるかを検証する必要である 。