日本予防理学療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-9950
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COVID-19 流行時の活動レベル , 身体機能 , 転倒リスクの変化
松﨑 英章
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 4 巻 1 号 p. 33

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抄録

【背景】身体機能は高齢になるにつれて低下し , 特に座りがちで社会的に孤立している人の身体機能が低下 すると外傷につながると考えられている 。 COVID-19 の流行時には , 身体活動の低下が身体機能を低下さ せ , 転倒関連リスクの上昇につながっている可能性が考えられる 。 【方法】 2021 年 1 月 ,50~80 歳の米国 成人 2,006 人に対する全米のオンライン調査を実施し ,2020 年 3 月以降の身体活動の低下 ,1 日当たりの 立位時間の減少 , 交友関係の喪失 , 社会的孤立 , 移動能力 , 身体機能 , 転倒 , 転倒恐怖の変化を評価した 。 多変量ロジスティック回帰分析を用いて , 身体活動 , 社会的孤立 , 身体機能 , 転倒 , 転倒恐怖の関連を評 価した 。 【結果】応答者のうち ,36.9% が身体活動の低下 ,35.1% が 1 日当たりの立位時間の減少 ,37.1% が交友関係の喪失 ,45.9% が社会的孤立について 2020 年 3 月以降の変化として報告した 。 多変量モデルで は , 身体活動の低下 ,1 日当たりの立位時間の減少 , 社会的孤立は , 身体機能低下のリスク上昇と関連し ていた 。 同様に , 身体活動の低下 ,1 日当たりの立位時間の減少 , 社会的孤立は , 移動能力の低下とも関 連していた 。 移動能力の低下は , 転倒リスクの上昇および転倒恐怖の増大と関連していた 。 社会的孤立は 転倒リスクの増大 , 身体機能の低下は転倒恐怖の増大と関連していた 。 【結論】 COVID-19 の流行時では , 身体機能の低下および転倒発生のリスクに対して身体活動の低下や社会的孤立が関連していた 。 中高年者 における身体活動の低下と社会的孤立に対処するための公衆衛生的な対策が必要である 。

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© 2024 一般社団法人 日本予防理学療法学会

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