論文ID: JPTP-D-24-00013
【目的】大腿骨近位部骨折を予防するためには運動器障害だけではなく健康状態や栄養状態,認知機能を含めた包括的な評価と介入が必要である。今回,後期高齢者の質問票を用いて受傷前の評価を行い,本骨折の背景因子としてのフレイルの有病率およびその特徴を明らかにすることとした。【方法】75歳以上で転倒によって受傷し,骨折前は歩行が可能であった大腿骨近位部骨折150例(女性79.3%,平均年齢83.0±5.1歳)を対象とした。後期高齢者の質問票を用いて受傷前の特性を把握し,さらに年齢層による違いを検討した。【結果】53.3%(80例)がフレイルに該当した。運動機能だけでなく,栄養状態,口腔機能,認知機能に関する項目もフレイルに該当する症例が多かった。【結論】受傷前からフレイルの状態になる症例が多く,その原因は多岐に渡るため早期の包括的な評価と専門的な多職種介入の必要性が示唆された。