2019 年 28 巻 p. 73-
「目的」本研究の目的は、受傷前に島嶼部で自宅生活を送っていた、大腿骨近位部骨折患者が、自宅退院を目指す場合に必要な身体機能を明らかにすることである。 「方法」対象は、平成 27 年 1 月から平成 29 年 6 月の期間に当院の回復期リハビリテーション病棟に入院した島嶼部在住の患者 22 名とした。対象の 10m 歩行時間、6 分間歩行距離、患側片脚 立位時間、HDS-R、Motor FIM、介護者の有無などを調査し、それぞれを自宅退院者と施設退院者で比較した。 「結果」10m 歩行時間、6 分間歩行距離、患側片脚立位時間、HDS-R、介護者の有無では差がなかった。 Motor FIMは、自宅退院者62.6点、施設退院者44.6点と、自宅退院者で18.0点高かった。 「結論」大腿骨近位部骨折患者が術後に島嶼部へ自宅退院するには、歩行能力が保つだけでなく、自宅退院者では Motor FIM の得点が高く、自立した生活ができることが必要である。Motor FIM が低い者は介助者を要し、島嶼部での生活には不利であると考えられる。