理学療法の臨床と研究
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最新号
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総説
  • 三上 亮
    原稿種別: 総説
    2021 年 30 巻 p. 3-7
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    本稿では、訪問リハビリテーションなどの在宅場面における目標設定が困難となる要因を、理学療法士(Physical therapist; PT)のアイデンティティに着目して概説する。日本においてコメディカルは、医師からの自律を目指し専門職化してきたが、近年チーム医療が推進されるなか、看護師や歯科衛生士などは自律性を高めている。一方で、PTのアイデンティティは不明確な状態にある。そこで、理学療法士及び作業療法士法の制度設計を手がかりに“身体に障害のある者に対する理学療法”を用いて“医学的リハビリテーションの普及・向上を担う”専門職としてPTのアイデンティティを導出した。最後に、導出したアイデンティティをどのように在宅場面に活かすことができるか、先行研究や筆者の経験を交えて述べた。
  • 相方 由香理, 越智 裕介
    原稿種別: 総説
    2021 年 30 巻 p. 9-15
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    慢性心不全は高齢者に多く、増悪による再入院を繰り返しながら徐々に身体機能が低下して、要介護状態となることが多い。わが国では高齢社会の進行に伴い、さらに心不全患者が増加すると報告されており、これは家族や社会への医療負担を含めた社会問題となっている。その対策として、心不全の疾患管理を可能とする包括的心臓リハビリテーションを基盤とした、地域医療体制の構築が求められている。中でも運動療法は、「心不全患者の運動耐容能、生活の質(QOL)、予後を改善させる治療介入」と位置づけられており、理学療法士には急性期・回復期・維持期と継続的な介入が期待されている。今後、各分野で心不全を有する高齢者の理学療法を担う機会が増えると予想される。本稿では心不全の基礎知識と高齢心不全患者の特徴および運動療法について概説し、心不全患者の理学療法の視点を共有できたらと考える。
  • 中島 勇樹
    原稿種別: 総説
    2021 年 30 巻 p. 17-23
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    本邦においては、がんの罹患者数は増加傾向にあり、運動機能や生活機能低下の予防および改善を目的としたリハビリテーションが提供される機会が増えてきている。がん患者に生じる問題は、筋力低下、疼痛、倦怠感、神経障害、不安、抑うつ、関節可動域制限や日常生活動作および生活の質の低下など多岐に渡る。また、問題は治療中のみに限らず、治療前や治療後にも生じる可能性がある。そのため、治療中や治療後に生じた問題点だけでなく、がん治療によって生じうる合併症などの問題を予防、軽減するために治療開始前から評価、介入を行うプレハビリテーションも近年では重要視されている。本稿では、理学療法士が臨床で遭遇しやすい問題を挙げ、その際の理学療法、運動療法介入およびその期待される効果について概説する。
  • 広島県における理学療法士の活動状況
    馬屋原 康高, 北山 良平, 山田 祐一, 石倉 英樹, 高須賀 文香, 岩田 恵美, 島津 竜太, 佐々木 昭
    原稿種別: 総説
    2021 年 30 巻 p. 25-28
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    児童・生徒数の増加や障害の重度化・重複化・多様化が進み、2007年には学校教育法の改正により、特殊教育から現行制度の特別支援教育に改変された。さらに近年では、特別支援学校において口腔内、鼻腔内や気管カニューレ内部の喀痰吸引などの医療的ケアの導入が進み、酸素投与のみならず人工呼吸器を装着した児童・生徒の通学など、教育現場へのより医療的な支援が望まれている。本稿では、そのような状況下にて、特別支援学校や現場の教諭が理学療法士に何を求めているのかを中心に、広島県の状況を紹介しながら概説する。
原著論文
  • 平岡 一志, 中野 徹, 大島 埴生, 青木 卓也, 星野 晋
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 29-34
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    【目的】理学療法士(PT)に対し研修会という形式で物語医療(narrative based medicine:NBM)の卒後教育プログラムを実施することを通して、その効果と課題を検討した。【方法】対象は研修会に応募・参加した広島県内のPT35名とした。研修会は講義とグループワークからなる計5時間の内容で構成した。参加者には研修事例についての感想などを研修会前後で自由記載してもらい、それぞれ事例についてどのように捉えていたかを質的に検討・分類しその変化を分析した。【結果】記載内容は、患者をとらえる視野と視点の拡がりによって4つのカテゴリーに分類され、研修会後は参加者の事例を捉える視野と視点が拡がったことが示された。【結論】PTが患者を生活者として捉えるための視野と視点を持つためのNBM卒後研修の有用性と今後の実践的な研修プログラム実施の必要性が示唆された。
  • 石倉 英樹
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 35-40
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は理学療法士養成校における臨床実習が、学生の睡眠習慣に与える影響を明らかにすることである。〔対象と方法〕対象は臨床実習を行う学生とした。ピッツバーグ睡眠質問票日本語版を用い、睡眠習慣について調査を行った。調査は臨床実習の開始直前と終了直後に行った。〔結果〕臨床実習前に比べて、臨床実習後で学生の睡眠習慣は「睡眠時間」「睡眠困難」「日中覚醒困難」の項目が悪化しており、睡眠障害が発生していた。〔結論〕臨床実習において、学生は十分な睡眠をとれていない。臨床実習における適切な睡眠について学生に十分指導する必要がある。
  • 金田 和輝, 浦辺 幸夫, 鈴木 雄太, 前田 慶明
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 41-46
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    目的:障がい者水泳(以下:パラ水泳)選手の原疾患とスポーツ傷害の既往を把握し、傷害予防対策の一助とすることである。 方法:中国四国地方のパラ水泳選手32名(男性16名、女性16名)を対象として、質問紙またはインターネットを使用した傷害調査を実施した。内容は原疾患に加えて、頸部、肩関節、肘関節、手指部、腰部、股関節、膝関節、足関節の競泳競技に関連した傷害の有無とした。 結果:原疾患は切断・欠損8名、脳性麻痺7名、片麻痺4名、脊髄損傷3名、視覚障害3名、その他7名であった。障害発生部位は肩関節(14名、31%)が最も多く、次いで手指部(8名,18%),腰部と頸部(各7名,16%)の順であった。 結論:パラ水泳選手の半数以上が競技に関連した傷害既往が存在することが示された。肩関節、腰部に加え、手指部と頸部に傷害が発生していた。今後、原疾患の障がいによるスポーツ傷害発生の関連を検討し、傷害の発生に関連するリスクファクターを解明していく。
  • 有馬 知志, 浦辺 幸夫, 鈴木 雄太, 小宮 諒, 福井 一輝, 田城 翼, 前田 慶明
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 47-51
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    目的:シッティングバレーボールを想定した座位での体幹傾斜角度の違いが、前後方向の選択反応時間におよぼす影響を明らかにする。 方法:対象は健常男性10名とした。課題動作は体幹前傾・後傾姿勢の2条件で、発光装置による光刺激の方向に合わせ、前後どちらかのセンサーマットへ素早く移動することとした。課題動作直前の腰椎アライメントをCRTの測定前にベッド上にてスパイナルマウスで測定した。 結果:前傾姿勢では、前方移動時(440.1±75.5 ms)のCRTに比べ後方移動時(525.8±91.7 ms)の方が21.0%有意に延長した(p<0.05)。前傾姿勢に比べ後傾姿勢での後方移動時(403.9±61.7 ms)はCRTが21.7%有意に短縮した(p<0.05)。各条件のCRTと腰椎弯曲角度に有意な相関はなかった。 結論:前方移動時は姿勢を問わないが、後方へ移動する際は後傾姿勢が素早く移動できる。
  • 前田 慎太郎, 小田 幸喜, 沖 真裕, 山中 健太郎, 野崎 真美, 黒河 春樹, 清水 紀之, 住田 有輝人, 高野 有優美, 濱田 和 ...
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 53-58
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    「目的」新たに考案した胸椎伸展角(TSEA)の測定信頼性を既存の胸椎後弯角(TKA)と併せて比較検討すること。 「方法」高校野球選手37名を対象とし、TSEAはパピー肢位(胸椎最大伸展位)、TKAは自然立位にて、デジタル角度計を用いて測定した。級内相関係数(ICC)による検者内・間信頼性をそれぞれ算出した。 「結果」TSEAは検者内ICC(1,1)=0.93、検者間ICC(2,1)=0.90であった。TKAは検者内ICC(1,1)=0.81、検者間ICC(2,1)=0.73であった。 「結論」TSEAは検者内・検者間ともにICC0.9以上(great)の非常に高い信頼性を示した。TKAは検者内0.81(good)、検者間0.73(ok, fair)とまずまず良好な信頼性を示した。TSEAは胸椎伸展可動性の簡易的評価法として臨床場面に導入可能であると考えられた。
  • 小川 拓郎, 溝口 裕章, 前田 慎太郎, 平田 和彦, 今田 直幸, 横矢 晋, 中島 祐子, 夏 恒治, 今田 英明, 安達 伸生
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 59-64
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    「目的」本研究の目的は、広島野球障害検診に参加した小・中学生を対象に下肢・体幹理学所見と肘関節超音波異常所見との関係を小・中学生別に調査することである。 「方法」対象は小学生109名、中学生114名とした。身長、体重、下肢・体幹理学所見は①大殿筋テスト、②しゃがみ込みテスト、③軸足片脚バランステスト、④Straight Leg Raising test、⑤Heel Buttock Distance、⑥股関節内旋可動域を測定した。超音波検査の結果からエコー異常群・正常群の2群に分類し、各項目を小・中学生別で比較した。 「結果」身長、体重は、小学生のみエコー異常群がエコー正常群に対して有意に大きかった。大殿筋テストは、小学生のみ投球側・非投球側ともにエコー異常群の陽性率は有意に高かった。その他のテストは小・中学生共にエコー異常群とエコー正常群間に有意差はみられなかった。 「結論」小学生で殿部筋群柔軟性が低下した場合、投球障害肘を考慮し定期的な検診を勧めることが重要である。
  • 伊藤 創, 葉 清規, 土師 敬弘, 国広 友美, 藤井 尚輝, 松田 陽子, 谷田 玲
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 65-68
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    【背景】 本研究目的は、健常成人に対して、エコーでのkager’s fat pad(以下、KFP) の測定の検者内・検者間信頼性、および移動量の検討することである。 【方法】 対象は健常成人15名15足とした。測定肢位は、足関節中間位、底屈位とし、それぞれの肢位でエコーを用いてKFPを描出した。測定方法は、アキレス腱に対し、長軸方向にプローブを当て、踵骨に付着するアキレス腱を描出し、後踵骨滑液包遠位端からアキレス腱付着部の踵骨隆起までとした。検者は4名とし、測定回数は各肢位で3回実施した。 【結果】 ICC(1、1)は検者4名共に各肢位で0.81以上、ICC(2、1)は中間位で0.77、底屈位で0.80であった。KFPの移動量は、中間位と比較し、底屈位で有意に減少した。 【結論】 エコーによるKFP測定の検者内・検者間信頼性は良好であった。KFPは底屈に伴い踵骨方向へ移動した。
  • 福井 一輝, 浦辺 幸夫, 前田 慶明, 小宮 諒, 森川 将徳, 横山 宗治
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 69-72
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は、セルフエクササイズ補助具であるストレッチソックスを大腿四頭筋のストレッチングに応用した際の効果を明らかにすることを目的に実施した。 方法:健常成人男性7名を対象とした。課題動作は腹臥位でストレッチソックスを用い、膝関節90°屈曲位から最大屈曲位まで動かす運動とした。これを30 bpmで2分間実施し、介入前後に最大膝関節屈曲角度(°)、外側広筋の筋硬度を測定した。 介入前後の各測定項目の比較に、対応のあるt検定を用いた。 結果:最大膝関節屈曲角度は、介入前126.8±4.3°、介入後129.8±4.5°となり有意に増加していた(p<0.01)。外側広筋の筋硬度は、介入前35.0±3.0、介入後30.0±2.6であり有意な低下を認めた(p<0.05)。 結論:ストレッチソックスを用いた膝屈曲運動は、腹臥位で簡便に実施可能であり、大腿四頭筋のストレッチング効果が得られることが示された。
  • 桑原 大輔, 梅原 拓也, 川畑 祐貴, 犬飼 彩歌, 金屋敷 遼
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 73-80
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究の目的は、健常者における片脚立位の姿勢制御機能の良否と骨盤・下肢アライメントおよび身体機能を比較する事と実質的効果量を明らかにする事とした。[方法]対象は健常者39名とし、片脚立位の姿勢制御機能良好群と不良群に分類した。群間における骨盤・下肢アライメントや身体機能を比較し、実質的効果量を算出した。[結果]片脚立位の姿勢制御機能良好群は、有意に静止立位時に骨盤中間位を示した(p<0.05)。また、片脚立位の姿勢性制御機能不良群は、有意にトーマステストの膝関節伸展陽性を示した(p<0.05)。静止立位姿勢における骨盤中間位と骨盤後傾位は、中の効果量を示した。[結論]骨盤アライメントや筋機能評価を行うことが、片脚立位の姿勢制御機能評価の一助に繋がる可能性がある。
  • 原 真希, 岩見 憲司, 藤本 英作, 笹重 善明
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 81-87
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    「目的」人工膝関節置換術(TKA)後1年経過した患者の日常生活動作における自覚的膝違和感と膝関節前後動揺性(AP-laxity)および膝関節機能との関連性を検証した。 「方法」当院で初回TKAを施行した21例21膝関節を対象に、TKA後1年経過時の自覚的膝違和感の指標にForgotten Joint Score(FJS-12)を使用し、AP-laxityはKNEELAX3にて測定した。膝関節機能評価には膝屈曲可動域、膝伸展筋力、10m歩行速度、Timed Up & Go Test(TUG)を用いた。統計解析は、FJS-12の下位項目に対するAP-laxityおよび膝関節機能についてSpearmanの相関係数を求めた。ROC分析よりFJS-12(階段昇段動作)におけるAP-laxityのカットオフ値を算出した。 「結果」FJS-12の総点とAP-laxityに有意な相関を認めず、下位項目である階段昇段動作のみ有意な正の相関を認めた。その他の下位項目に相関は認めなかった。ROC分析よりカットオフ値は10.59㎜であった。FJS-12と膝関節機能は明らかな関連性を認めなかった。 「結論」TKA後1年経過時の階段昇段動作の自覚的膝違和感にAP-laxityが関連することが示唆された。
  • 中村 萌子, 隴本 躍子, 田中 玲子, 迫井 瑞樹, 笹谷 奈緒美, 河村 恵里, 平岩 和美, 平尾 文
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 89-91
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    「目的」認知症高齢者の足趾把持力、バランス機能、除脂肪量の関連性をみることである。「方法」介護老人保健施設入所の立位保持・指示理解可能なMMSE5点、HDS-R3点以上の認知症高齢者39名を対象に、最大足趾把持力、バランス機能、除脂肪量を測定し、各関連性を統計分析した。「結果」最大足趾把持力と除脂肪量、最大足趾把持力とBBSに有意な正の相関を認めた。「結論」認知症高齢者の足趾把持力と除脂肪量、バランス機能の関連性が認められたため、これを踏まえた理学療法介入が必要であると考えられる。
  • 中川 敬汰, 北風 草介, 金井 秀作, 甲田 宗嗣
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 93-99
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    【目的】療養病棟入院中の軽度から中等度の認知症患者の日常生活活動(以下、ADL)と基本的動作能力の低下が認知機能に及ぼす影響を予備的に検討することを目的とした。 【方法】療養病棟入院中の軽度から中等度の認知症患者25名を対象とし、6ヶ月間の追跡調査を実施した。ADLはFunctional Independence Measure(以下、FIM) 、基本的動作能力はSouthampton Mobility Assessment日本版(以下、SMA-J)にて評価した。6ヶ月後にFIM運動項目が維持向上した群と低下した群、SMA-Jが維持向上した群と低下した群に分け、比較検討を行なった。 【結果】6ヶ月後にFIM運動項目またはSMA-Jが低下した群は、維持向上した群と比較し、認知機能が有意に低下した。 【結論】軽度から中等度の認知症患者のADLと基本的動作能力の低下は認知機能に影響を及ぼす可能性が示唆された。
  • 三谷 仁也, 藤田 果織, 永井 学, 臂 宏泰, 坪河 太, 林 拓男
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 101-106
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    「目的」当院回復期リハビリテーション病棟における85歳以上の大腿骨近位部骨折患者の自宅復帰に関連する要因について地域連携パスから明らかにすること。 「方法」当院回復期リハビリテーション病棟を退院した85歳以上の大腿骨近位部骨折患者で地域連携パスを有する42名を対象とし、対象の転帰先を自宅群・非自宅群に分類した。地域連携パスから調査項目を抜粋、自宅群・非自宅群で比較・検討した。 「結果」自宅退院に関連があったのは受傷前ADLの移動、回復期リハ病棟転院時ADLの排泄、更衣、移乗、移動、退院時ADLの食事、排泄、更衣、移乗、移動、移動手段であった。 「結論」回復期リハビリテーション病棟における85歳以上の大腿骨近位部骨折患者の自宅退院の可否判断のための予後予測ツールとして地域連携パスの有用性が示唆された。
  • 金屋敷 遼, 梅原 拓也, 犬飼 彩歌, 桑原 大輔
    原稿種別: 原著
    2021 年 30 巻 p. 107-113
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    【目的】 本研究の目的は、大腿骨転子部骨折患者における小転子転位の有無により、術後1-3週の身体機能や歩行自立度が異なるかどうかを比較することとした。 【方法】 対象者は、大腿骨転子部骨折患者41名とし、小転子転位の有無により非転位群と転位群に分類した。疼痛、30秒椅子立ち上がりテスト(30-seconds chair-stand test:以下、CS-30)や歩行自立度における群間・期間要因の差を比較した。 【結果】 二元配置分散分析の結果、全ての検討項目で交互作用、群間要因の主効果を認めなかった。また、期間要因に有意な主効果を認めたものは、安静時疼痛と運動時疼痛、歩行自立度であった。 【結論】 本研究の調査項目においては、小転子転位が術後1-3週の経過を遅延させる因子ではないことが示唆された。
症例報告
  • 岡田 泰河, 鈴木 雄太, 吉田 康兵, 浦辺 幸夫, 白川 泰山
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 30 巻 p. 115-118
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    目的:重度栄養障害を呈した大腿骨頚部骨折患者に、体重を指標として多職種で連携することで、栄養状態が改善し自宅退院した症例を経験したので報告する。 症例紹介:症例は人工骨頭置換術を施行し、当院へ転入院した80代の女性であった。入院時の体重は35.9kg、Body Mass Index (BMI): 15.5、平常時体重比71%で重度栄養障害であった。 経過:運動療法は運動強度を3METs以下とし、日常生活動作獲得を目的に1日6~8単位実施した。病棟で集団リハビリを行い、補食としてゼリー飲料と野菜ジュースを摂取した。入院4週後に体重は4.8kg増加し40.7kg、BMI 17.6、平常時体重比80%で中等度栄養障害となり、5週目に3.5METs程度の筋力強化練習を開始した。11週目に栄養指導を実施し、12週目まで体重40kg程度を維持し自宅へ退院した。 結論:体重を指標として多職種で連携することは日常生活動作の獲得に有効と考えられた。
活動報告
  • 松本 拳斗, 徳森 公彦, 山崎 貴博, 伊藤 美和
    原稿種別: 活動報告
    2021 年 30 巻 p. 119-125
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー
    「目的」本研究の目的は、高齢者のサロン活動への参加が「互助」の推進に有効であるかを検討することである。 「方法」対象は平成30年6月実施のサロンに参加された地域在住高齢者33人とし、サロン参加開始前後の生活状況に関する無記名アンケートを実施した。 「結果」参加者の平均年齢は79.4(SD=5.51)歳であった。サロン参加前に比べ、「外出頻度」、「親しい友人の数」が「増えた」と回答した人はそれぞれ36.4%、57.6%であった。一方、「主な生活場所」「自宅での役割」などの項目では「変わらない」と約6割の人が回答した。 「結論」サロン参加は、生活状況を維持するだけでなく、新たな出会いの場、人間関係づくりの場として機能している可能性が示唆された。そのためサロン活動への参加は地域包括ケアシステムにおける「互助」の推進に有効ではないかと考えている。
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