2021 年 30 巻 p. 107-113
【目的】 本研究の目的は、大腿骨転子部骨折患者における小転子転位の有無により、術後1-3週の身体機能や歩行自立度が異なるかどうかを比較することとした。 【方法】 対象者は、大腿骨転子部骨折患者41名とし、小転子転位の有無により非転位群と転位群に分類した。疼痛、30秒椅子立ち上がりテスト(30-seconds chair-stand test:以下、CS-30)や歩行自立度における群間・期間要因の差を比較した。 【結果】 二元配置分散分析の結果、全ての検討項目で交互作用、群間要因の主効果を認めなかった。また、期間要因に有意な主効果を認めたものは、安静時疼痛と運動時疼痛、歩行自立度であった。 【結論】 本研究の調査項目においては、小転子転位が術後1-3週の経過を遅延させる因子ではないことが示唆された。