2024 年 4 巻 1 号 p. 35-46
東京農業大学(以下,東京農大と記す)と浪江町は2018 年度に締結した連携協定に基づき,浪江町で農業の復興活動を行っている。東京農大生は何度も浪江町に足を運んで農作業を行い,浪江町農家と対話を重ねて浪江町の農産物の6次産業化に取り組んだりするなど,年々,復興活動が活性化している。本研究では,筆者が浪江町で復興支援業務に従事した経験,および浪江町で農業の復興活動を行う東京農大生に対して実施したアンケート調査を基に,農業の復興活動の活性化を促進する環境の解明を行った。その結果,農業の復興活動には利他的な動機と利己的な動機の両方が機能していることが明らかとなった。復興活動に対する動機を高めるためには, ①学生の成長に寄与する復興活動を設定すること,②様々な復興活動を準備し,学生が選択可能とすること,③一連の農作業に対して継続的に参加可能とすること,④自律性を重んじる復興活動を設定すること,⑤多様な能力を発揮可能な環境を設定すること,⑥高齢者と学生が農作業から販売までの一連の活動で共創することが可能な環境を提供すること,⑦復興活動の成果の情報発信を行うこと,が効果的であると考えられる。また,学生と被災地の農家の双方に対して見返りのある持続的な復興活動を設定することが必要であると考えられる。