家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛精液の細菌汚染防止に関する研究I.原精液の細菌汚染の実態調査
橋本 和典
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1966 年 12 巻 3 号 p. 84-88

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抄録
牛の原精液219例の細菌汚染の実態を調査して,つぎの結果をえた。
1.原精液の細菌汚染度は高く,その混入菌数は2×103コ/mlから1.7×107コ/mlにわたってており,106コ/mlをこえるものが21.7%に認められた。しかし採精前に包皮腔洗浄を行なった精液では,無洗浄採取精液に比べて混入菌数は明らかに減少していた。
2.原精液から検出された大部分の細菌はいわゆる非病原菌であり,主として包皮腔内付着菌の混入によるものであり,原精液の細菌汚染防止には採精前の包皮腔洗浄が有効であることが実験的にもうらがきされた。
3.包皮腔洗浄はたんに原精液の細菌汚染度を減少させるばかりでなく,希釈精液に添加した抗生物質の細菌抑制効果を助長し,清浄な精液の供給に有益であることを論じた。
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© 日本繁殖生物学会
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