家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
雌家兎の生殖諸相における体温,流血中白血球数および赤血球数の消長
堤 義雄高橋 正浩小栗 紀彦八戸 芳夫
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1968 年 14 巻 3 号 p. 109-114

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抄録

雌家兎の生殖諸相において体温,流血中白血球数および赤血球数がどのような変動を示すかについて観察した。
腟垢および腟粘液の検査により性周期を求め,夫々との関係を追究したが性周期内の各時期との関連について明確な変動傾向は認められなかった。しかし夫々の測定値による曲線は不鮮明ながら波状を呈し,それらの平均間隔は性周期のそれと変らない値が得られた。
午前8時に交配し2時問毎に午後10時まで測定した結果,体温では日内変動が大きくて特に交配による変化はみられず,白血球数では午後4時の交配後8時間目に有意な低下が認められた。赤血球数では変動が大きく特定の傾向は認められなかった。
偽妊娠中は体温はやや高目であったが,白血球数は交配前と変化なく,赤血球数では幾分低目であった。それぞれの変動では体温が16~17日目に,白血球数は17~18日目に一時低下した。赤血球数では13日目に有意な減少があった。
交配後体温は漸次上昇し,妊娠7日目から11日目までの問最高水準に達し,以後27~28日目まで漸次下降したがその後分娩まで急激な下降が示された。白血球数も妊娠初期から16日目頃まで漸増し,その後27日目まで漸減してそのまま分娩に至った。赤血球数は特に妊娠18~19日目に急減し,その低値が26日目まで続いた。その後分娩までやや増加の傾向がみられた。
分娩後体温が正常状態に復帰するまで約36日間を要したが,その間分娩後から11日目,その後25日目まで,および26日目から36日目までの3つの大きな変動の山が認められるようである。白血球数による曲線も分娩後より9日目まで,その後30日目まで,および47日目までの間それぞれの山が現われ,47日目以降正常に復帰したように思われた。赤血球数は分娩後漸減し,15日目から22日目に最低値を示し,その後漸増して33日目頃までに正常に復帰したように思考された。
以上のそれぞれの消長は家兎の生殖諸相における生理的変化を反映しているものと考えられ,特に体温および白血球数の変動に比較的明瞭に現われた。

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