家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
家畜における性腺刺激ホルモンのImmunoassayに関する研究IV.牛の下垂体中黄体形成ホルモンの測定成績
森 純一藤崎 尚徳檜垣 繁光細田 達雄
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1968 年 14 巻 3 号 p. 93-98

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抄録

雌牛における下垂体中LH濃度の性周期中の変化をimmunoassay法によってしらべ,さらに妊娠,分娩後,卵巣のう腫,去勢,雄および雄子牛の下垂体中LH濃度を同様immunoassay法によって検討した。immunoassayの術式は赤血球凝集阻止反応によった。またそれぞれの測定値は,下垂体のアセトン乾燥粉末のmg当りのLH量であり,NIH-LH-B4相当量で表示した。
1.性周期の各時期における下垂体LH濃度の平均値は,発情期13.3μg,排卵後9.3μg,黄体初期12.3μg,黄体中期15.8μg,黄体末期20.0μgで,排卵後に最低の値を示し,その後黄体初期から中期へと増加し,黄体末期に最高の値を示した。
このことから,下垂体中のLH濃度は性周期にともない,周期的変動を示すものと認められた。
2.妊娠,分娩後,卵巣のう腫,去勢,雄および雄子牛の下垂体LH濃度の平均値はそれぞれ13.5μg,3.0μg,11.9μg,29.4μg,16.6μg,13•4μgで,これらを性周期中の雌牛の全平均値と比較すると,去勢牛は明らかに高く,卵巣のう腫牛は若干低く,分娩後の牛は明らかに低い値を示した。
3.これらimmunoassay法による測定結果は,これまでのbioassay法による測定結果と一致する傾向を示した。

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© 日本繁殖生物学会
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