家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
家畜における性腺刺激ホルモンのImmunoassayに関する研究
V.牛黄体形成ホルモン免疫血清による牛以外の家畜の性腺刺激ホルモンのImmunoassayの可能性
森 純一檜垣 繁光細田 達雄
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 17 巻 1 号 p. 14-19

詳細
抄録

牛LH免疫血清を用いて牛以外の家畜の性腺刺激ホルモンのimmunoassayの可能性を明らかにする目的で,牛LH免疫血清と他の家畜の性腺刺激ホルモンの関係を寒天ゲル内沈降反応および血球凝集阻止反応によって検討した。結果は次の通りであった。
1)牛LH免疫血清と牛,馬,羊,豚,うさぎ,鶏およびラットの下垂体抽出液による寒天ゲル内沈降反応においては,抗原である牛のほか,羊,豚,うさぎおよびラットの下垂体抽出液と免疫血清の間に沈降線の出現が認められたが,馬および鶏の抽出液と免疫血清の間には沈降線の出現が認められなかった。
2)牛LH免疫血清と牛,馬,羊および豚のAPG標品による寒天ゲル内沈降反応においては,抗原である牛のほか羊および豚の標品と免疫血清の間に沈降線の出現が認められたが,馬の標品と免疫血清の間には沈降線の出現が認められなかった。この結果は下垂体抽出液の場合の成績と一致していた。
3)牛LH免疫血清と牛および羊のLH標品による寒天ゲル内沈降反応においては,沈降線は牛および羊のLHに対してそれぞれ1本ずつ認められ,その接点は完全に融合一致していた。
4)牛LH免疫血清と牛LH感作血球による血球凝集阻止反応において,牛,羊および豚のAPG標品ならびに牛および羊のLH標品は阻止作用を示したが,馬のAPG標品は阻止作用を示さなかった。この結果は寒天ゲル内沈降反応の結果と一致するものであった。
5)牛LH免疫血清とPMSGおよびHCGの間には,寒天ゲル内沈降反応においても血球凝集阻止反応においても反応が認められなかった。
以上の結果から,羊,豚,うさぎおよびラットの性腺刺激ホルモンは牛LH免疫血清と反応を示し,本免疫血清によるimmunoassayの可能性が推定されたが,馬および鶏の下垂体性性腺刺激ホルモンならびにPMSGおよびHCGでは牛LH免疫血清との間に反応が認められず,現状では本免疫血清によるimmunoassayは不可能であると思考された。

著者関連情報
© 日本繁殖生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top