家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
4日周期マウスにおける性周期日数の短縮に関する研究
IV. 雄近接によるEstrogen分泌の促進
高橋 和明信永 利馬
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1973 年 19 巻 3 号 p. 94-98

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抄録

午前5時点灯,午後7時消灯の照明時間調節をされた飼育環境で正しく4日性周期を反復しているマウス(IV CS系)を用い,雄の近接とestrogen分泌の関係を解明する目的で本実験を行なった。
雌マウスは腟垢で発情期(III期)を示した日の午後2時から雄と金網こしに近接し,腟垢周期における発情前期(I期), III期像の発現時刻,子宮重量の変化およびIII期の腟垢像を発現させるのに必要な量のestrogenを分泌する時刻等について雄近接以前の成績と比較検討した結果,次の成績をえた。
1. I期およびIII期の膣垢像は雄近接群の方が対照群よりも12~18時間早く発現することを認めた(Fig.2)。
2. 子宮重量はV期の日から雄近接群の方が対照群よりも早く重くなる傾向を認めた(Fig.3)。
3. III期の腟垢像を発現させるに必要な量のestrogenの分泌時刻を知るために周期中の種々の時刻に卵巣の摘出を行ない,その後に発現される腟垢像の変化を指標にして検討した結果,III期像の発現に必要な量のestrogen分泌時刻は雄近接群(V期の日,正午)の方が対照群(V期の日,午後6時)よりも6時間早いことがわかった(Fig.4)。
以上の成績から,雌マウスは雄マウスの近接によりestrogenの分泌促進を起こすことが明らかとなった。

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© 日本繁殖生物学会
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