家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
19 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • PMS処理後クロミヘンで抑制された排卵に及ぼすエストロジェン,プロゲスチンの影響
    梅津 元昭
    1973 年 19 巻 3 号 p. 87-93
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    PMS注射による幼若雌ラットの排卵誘起に対し,アンチエストロジェン作用を有するクロミヘンを処理することにより排卵の抑制がみられるが,今回はその排卵抑制に対するエストロジェンおにびプロゲスチソの影響について種々の検討を加え,次の結果を得た。
    1) 24~26日令のラットを用い,3IUのPMSを注射後6時間にクロミヘン2.5mg/100 g b.w.を注射した時,排卵の抑制がみられ,排卵は1日遅れた。子宮除去ラットでも同様の結果が得られた。
    2) 上記のPMSおよびクロミヘン処理で,PMS注射後エストラジオールを種々の時間に単一皮下注射したところ, PMS注射後3時間のエストラジオール0.5μg, 5μg処理,6時間,9時間および51時間のそれぞれ5μg処理で高い排卵率が得られ,排卵抑制効果はほぼ打ち消された。
    3) 同様に, PMS処理後プロゲステロンを種々の時間に処理したところ,PMS注射後45~54時間の0.2mg, 2mg処理で高い排卵率を示した。
    4) PMSおよびクロミヘン処理でPMS注射後51時間にコルチゾン•アセテート,コルチコステロン,17α-ハイドロキシ•プロゲステロンを0.2mgおにび2mg処理したが,排卵は全くみられなかった。
  • IV. 雄近接によるEstrogen分泌の促進
    高橋 和明, 信永 利馬
    1973 年 19 巻 3 号 p. 94-98
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    午前5時点灯,午後7時消灯の照明時間調節をされた飼育環境で正しく4日性周期を反復しているマウス(IV CS系)を用い,雄の近接とestrogen分泌の関係を解明する目的で本実験を行なった。
    雌マウスは腟垢で発情期(III期)を示した日の午後2時から雄と金網こしに近接し,腟垢周期における発情前期(I期), III期像の発現時刻,子宮重量の変化およびIII期の腟垢像を発現させるのに必要な量のestrogenを分泌する時刻等について雄近接以前の成績と比較検討した結果,次の成績をえた。
    1. I期およびIII期の膣垢像は雄近接群の方が対照群よりも12~18時間早く発現することを認めた(Fig.2)。
    2. 子宮重量はV期の日から雄近接群の方が対照群よりも早く重くなる傾向を認めた(Fig.3)。
    3. III期の腟垢像を発現させるに必要な量のestrogenの分泌時刻を知るために周期中の種々の時刻に卵巣の摘出を行ない,その後に発現される腟垢像の変化を指標にして検討した結果,III期像の発現に必要な量のestrogen分泌時刻は雄近接群(V期の日,正午)の方が対照群(V期の日,午後6時)よりも6時間早いことがわかった(Fig.4)。
    以上の成績から,雌マウスは雄マウスの近接によりestrogenの分泌促進を起こすことが明らかとなった。
  • 菅原 七郎, 辻井 弘忠, 竹内 三郎
    1973 年 19 巻 3 号 p. 99-103
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    In vitroにおいて,ラット卵子の炭酸固定能について実験し次の結果を得た。
    1,2細胞期と胚盤胞期のラット卵子はH14CO3-を卵子の蛋白質分画やその他の有機物に固定することを認めた。
    炭酸固定能は発生の段階によって異なり,発生が進むに従って固定能が増大した。その活性は2細胞期の卵子では1細胞期の約4倍に,胚盤胞期では2細胞期の約20倍以上であった。TCA不溶分画への固定が最も多く全体の約43~84%であった。一方,細胞外物質への固定は全体の約20~25%であった。
    また,ラット卵子での炭酸固定は中間代謝物質の種類や添加によって影響を受けた。
  • IX.卵巣摘出牛における子宮内フラクトースおよびソルビトールの消長に及ぼす卵巣ホルモンの影響
    菅徹 行, 正木 淳二
    1973 年 19 巻 3 号 p. 104-111
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    卵巣摘出牛7頭に,エストラジオールおよびプロゲステロンを単独あるいは混合注射して,牛子宮におけるフラクトースとソルビトールの産生に及ぼす卵巣ホルモソの影響を調べ,次の結果を得た。
    1.卵巣摘出30日後には子宮内フラクトースおよびソルビトールは消失していた。
    2.エストラジオール2mgを8時間間隔で5回筋肉内注射した場合,48時間以内に発情が誘起されたが,フラクトースおよびソルビトールの生産は認められなかっな。
    3.プロゲステロン5mgを8時間間隔で5回子宮実質内注射した場合,子宮内でフラクトースおよびソルビトールが産生されたが,エストラジオール2μgとプロゲステロン5mgを混合注射した場合には,両成分の産生がさらに促進され,両ホルモンによる協同作用が明らかに認められた。
  • 紫野 正雄
    1973 年 19 巻 3 号 p. 112-114
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1. Bü氏変法として,切皮創を3ヵ所に設け,腟内洗浄と併用して腟脱手術を行なうことによりかなりの整復効果は期待できる。
    2. 縫合針および縫合テープについては,われわれが使用したものでなんら問題はなかった。
    3. 縫合テープの材質については,ポリエステル製ナイロン糸または綿糸織りテープの利用が手術実施上便利で,強度についても強努責に対しても充分耐えられるものである。
    4. 縫合テープの抜去時期については,外陰部周囲の腫脹が消失し,触知により結合織増生所見を見てから抜去することとし,その時期は手術後30日から50日の範囲とする.
    5. 排尿,排便等に特に障害は認められなかった。
  • II. 緩衝液および希釈液の影響について
    黒田 治門, 広江 一正
    1973 年 19 巻 3 号 p. 115-119
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    スピッツ種の成雄犬を用いて,イヌ精子の糖代謝能に及ぼす希釈液の影響について検討した。その結果はつぎの通りである。
    1.原精液よりも希釈精液の方がいずれの場合にも高い代謝能を示した。
    2.グリシン液およびリン酸緩衝液では呼吸量および糖消費量が高いにもかかわらず,乳酸蓄積量はきわめて低値を示した。これらの希釈液ではイヌ精子は糖の利用と並行して乳酸も利用しうると推測される。
    3.牛乳およびグルタミン酸ナトリウム液で希釈された精子の呼吸能および解糖能は原精液の場合よりも高かった。この傾向は牛乳において特に著明であった。
    4.PETIC液は精子の生存維持ならびに糖代謝能のいずれに関しても好影響をもたらすことが知られた。
  • III.各種化学療法剤および抗生物質の影響について
    黒田 治門, 広江 一正
    1973 年 19 巻 3 号 p. 120-124
    発行日: 1973/12/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    7種類の抗菌性薬物(ペニシリン,カナマイシソ,ストレプトマイシソ,スピラマイシソ,テラマイシソ,スルファミソおよびホモスルファミン)を用いて,イヌ精子の生存性および代謝能におよぼす影響を検討した。
    その結果は次の通りであった。
    1) 薬物添加直後の精子生存性はほぼ原精液と同じであったが,代謝試験後の精子生存性は薬物によって差が認められた。スルファミソとホモスルファミソの添加では高い精子生存率および活力を示したが,スピラマイシンおよびテラマイシンは最低を示した。
    2)イヌ精子の呼吸および解糖能では,サルファ剤とテラマイシンは原精液より高い値を示したが,他の薬物は基質によって異なる傾向を示した。
    3) テラマイシソ以外の抗生物質は糖消費量の増減にかかわらず,乳酸蓄積量を著しく減少させた。
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