家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
子宮内膜炎の発生機転に関する研究 II
山内 亮大地 隆温中原 達夫乾 純夫円山 八十一
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1957 年 2 巻 4 号 p. 107-114

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抄録

著者等は兎及び牛について細菌注入による子宮内膜炎の発生試験を行い, 兎に於いては黄体期, 牛に於いては黄体初期の状態の子宮が非病原菌の感染によつて内膜炎を起し易くこれ以外の時期には発病しない点よりprogesteroneの影響が本病の発生に密接な関係を有すること, 更に精液の介在することが発病にとつて1つの促進的な要素となることを前年報告1) したが, BLACK等(1953,1954)2,3), ROWSON 等 (1953)4), HEIM (1954)5)等も兎或は牛に於いて子宮の細菌感染に対する抵抗性がestrogenによつて増強され, progesteroneによつて抑制されるという見解を示している。
然しながら一方大量のestrogenを投与したマウスや兎にpyometraの起ることが古くよりBURROWS (1935)6)ZONDEK (1936)7), GARDNER等 (1936)8)によつて報告されており, WEINSTEIN等 (1937)9)はマウスに於いてestrogenを連続注射すると膣から子宮内に細菌が侵入し長期間注射した例にはpyometraが起ることを認めている。又牛に於いて旺盛なestrogenの支配下に在ると認められる10) 卵巣嚢腫の例に子宮内膜炎或はpyometraが併発しているものを著者等は屡々認めている。このような場合の子宮感染の成立或は内膜炎の発生機転については前述のprogesteroneの影響は先ず考えられず不明な点が多く残されている。
著者等は中国支場に於いてラット, 兎及び牛を用いて引続き細菌注入による子宮内膜炎の発生試験を行いestrogen 大量連続投与及び progesterone の影響を追究すると共に細菌に hyaluronidase (H-aseと略) を添加した場合の影響をも併せて検討し, 更に夫々子宮内膜の組織学的観察を行い2•3の知見を得たので蚊にその概要を報告する。

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