家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
性周期における牛末梢血中遊離estrogenの螢光測定
百目鬼 郁男中原 達夫山内 亮
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1974 年 20 巻 2 号 p. 76-80

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抄録

性周期における牛の末梢血中遊離estrogen測定にITTRICH螢光法を応用して次の成績を得た。
Ittrich colorの最大波長をspectrofluorometer Hitachi MPF-2AおよびType203で測定した結果,励起光538nm,螢光552.5nmであった。この螢光特性はE1, E2およびE3にそれぞれ共通であった。実際の測定では最大波長が接近しているので感度は若干低下するが510~520nmで励起し•螢光側552•5±22•5nmを読み,ALLENの補正を行なった。この条件においてE1,E2およびE3-methyletherの最少検出量は1ngであった。回収率補正の目的で加えた6,7-3H-E2-17βの全過程における回収率は平均60.3±11.7%であった。正常性周期を示す黒毛和種2頭の頸静脈血についてestrogenを分画測定した。その結果,両牛共E1,E2の各消長型は性周期の全期間を通じてほぼ同じ傾向を示したが,E2はE1にくらべ全般に高値であった。またE3は検出されなかった。これらの牛のtotalestrogenは発情前期に増加し,排卵前に鋭いピーク(35.3および99.8ng/l;E15.9および16.0ng/l,E229.4および83.8ng/l)を形成し,排卵後は急激に減少して最低値(3.8~5.3ng/l;E11.6および1.9ng/l,E22.2および3.4ng/l)を示した。黄体期の最高値(10.1および27.0ng/l;E12.4および3.4ng/l,E27.7および23.6ng/l)は排卵後6~8日に認めた。すなわちestrogenの血中濃度は性周期の間に2つのピークを形成することを認めた。

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