家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛の子宮分泌液に関する生化学的研究とくに糖質の消長を中心にして
菅 徹行
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1974 年 20 巻 3 号 p. 81-82

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抄録

子宮分泌液 (妊娠期のものは子宮乳とも呼ばれる) は受精卵や胚が生存し発育するための栄養源になるだけでなく, 雌生殖器内に入った精子の生存や受精部位への上昇を助ける重要な役割がある。
この成分には, 母体血液から直接に与えられる血液栄養素と子宮内膜で産生される組織栄養素の両者に基づくものがあり, いずれも子宮の妊娠準備態勢に関係するもであるが, その構成成分や分泌機序については不明の点が多い。牛の子宮分泌液に関する研究実施上の隘路として, 試料を採取するための良い方法が確立されていないこと, ならびに採取量が少なく化学的分析に要する十分な材料が得られないことが挙げられる。しかし, 近年,原子吸光, 薄層クロマトならびにガスクロマト分析法の飛躍的な進歩に伴い, 微量な成分が同定可能になった。
本研究は牛の受胎率向上をはかるための基礎資料を得る目的で, 子宮分泌液の貯留量とその組成, 特に糖質供給機序を中心に調べたものである。

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