家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
20 巻, 3 号
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  • 菅 徹行
    1974 年 20 巻 3 号 p. 81-82
    発行日: 1974/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    子宮分泌液 (妊娠期のものは子宮乳とも呼ばれる) は受精卵や胚が生存し発育するための栄養源になるだけでなく, 雌生殖器内に入った精子の生存や受精部位への上昇を助ける重要な役割がある。
    この成分には, 母体血液から直接に与えられる血液栄養素と子宮内膜で産生される組織栄養素の両者に基づくものがあり, いずれも子宮の妊娠準備態勢に関係するもであるが, その構成成分や分泌機序については不明の点が多い。牛の子宮分泌液に関する研究実施上の隘路として, 試料を採取するための良い方法が確立されていないこと, ならびに採取量が少なく化学的分析に要する十分な材料が得られないことが挙げられる。しかし, 近年,原子吸光, 薄層クロマトならびにガスクロマト分析法の飛躍的な進歩に伴い, 微量な成分が同定可能になった。
    本研究は牛の受胎率向上をはかるための基礎資料を得る目的で, 子宮分泌液の貯留量とその組成, 特に糖質供給機序を中心に調べたものである。
  • 林 正利
    1974 年 20 巻 3 号 p. 89-94
    発行日: 1974/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.性周期ではcholinesterase, non-protein nitro-genおよびtotal proteinは無発情期,alkaline phos-phataseは発情後期でそれぞれ高い値を示した。一方cholesterolは無発情前期,creatinineは発情後期と無発情期で低値を示し,その他の成分は著しい変動はみられなかった。
    2.妊娠中の血清成分のうち漸進的に増加したのはcholinesteraseで,一時的に増加したのはalkalinephosphatase, cholesterolであった。逆に減少したのはblood urea nitrogen, albumin:globulinであった。Total proteinおよび赤血球数,ヘモグロビンおよびヘマトクリット値は妊娠進行に伴って急速に低下し,白血球数は妊娠後期で増加した。
    3.分娩後はcholinesteraseとalkaline phospha-taseが増加し,blood urea nitrogenが低下した。その他の成分は妊娠中のものと大差がなかった。赤血球,白血球数およびヘモグロビン,ヘマトクリット値はいずれも低下した。
  • 百目 鬼郁男, 中原 達夫, 山内 亮, 牧野 拓雄
    1974 年 20 巻 3 号 p. 95-100
    発行日: 1974/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    牛血中Pの測定法としてP-3-oxime-BSAに対する家兎抗血清を使用したRIA法ならびにCPBA法,螢光法について比較し,さらに,RIA法により性周期における牛末梢血中Pの消長型を追求して次の成績を得た。
    1.P-3-oxime-BSAを用いて作製した抗血清は適正希釈倍数40,000倍の高力価のものであった。本抗血清を用いて作成した標準曲線は,Pが0~400Pgの範囲においてほぼ直線(片対数目盛)を示し,0pgにおける結合率は70%以上であった。さらに,本抗血清の各種ステロイドに対する交叉反応は5α-pregnanedioneを除いて低く,Pに対する特異性はきわめて高いことを認めた。2. Pの抽出過程において,粗抽出物をクロマトを用いて精製する方法(クロマト法)ならびに,この操作をはぶいた方法(直接法)によって得られた材料についてPの測定値を比較した結果,いずれの方法においてもほぼ等しい値が得られた。
    3.性周期の各時期の牛血漿について,RIA法,螢光法,およびCPBA法により測定したPの値はほぼ等しいことを認めた。
    4.RIA法により延9性周期の牛血中Pの消長型を検討したところ,Pは発情期に最低値0.2~0.3πg/ml,黄体期(排卵後11~16日)に最高値3.2~5.8ng/mlを示し,次の排卵前4~6日頃から急激に低下することを認めた。
  • 梅津 元昭, 三浦 源三郎, 竹内 三郎
    1974 年 20 巻 3 号 p. 101-104
    発行日: 1974/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    合成LH-RHとしてデカペプタイド•アミド:Gn-RHとノナペプタイド:Gn-RH-Iの2種類を用いて,成熟および幼若ラットの排卵への影響を調べたところ,次の結果を得た。
    1.成熟ラット:i)発情休止期のものではGn-RH2μg以上,Gn-RH-10.2μg以上の処理で排卵がみられた。ii)発情後期のものではGn-RH•50μg•Gn-RH-I•2μg以上の処理で排卵が予定日より1日遅れた。
    2.幼若ラット:i)PMS-クロミヘン処理ではGn-RH, Gn-RH-Iの0.2μg以上の処理で排卵がみられた。ii)PMS-ネムブタール処理では, Gn-RH 2μg以上,Gn-RH-10.2μgの処理で排卵がみられた。
  • 中尾 敏彦, 佐藤 邦忠, 小野 斉, 三宅 勝
    1974 年 20 巻 3 号 p. 105-110
    発行日: 1974/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1. 卵胞嚢腫牛の血中性スデロイド値は外部徴候により異なり,持続性発情および思牡狂型のものではestrogen特にE2値が高くてP値が低く,無発情型のものではP値が高くてestrogen値が低い傾向がみられた。
    2. 卵胞嚢腫牛の血中P値は,正常牛の発情期のP値に比べて,持続性発情および思牡狂型のものでは低く,不規則発情型のものでは僅かに高く,無発情型のものではかなり高かったが,正常牛の黄体期のP値に比べると,外部微候の型にかかわらず低い傾向を示した。
    3. 卵胞嚢腫牛の血中estrogen特にE2値は,正常牛の発情期および黄体期の値に比べ,持続性発情および思牡狂型のものでは著しく高かったが,不規則発情型および無発情型のものでは低い傾向がみられた。
    4. 血中P値が高いもの程治癒率は高く,受胎までの日数も短かかった。また,血中E2値が高い牛ほど受胎までの日数は長い傾向がみられた。
    5. 合成副腎皮質ホルモソ(ベタメサゾン)を投与した卵胞嚢腫牛の治癒率(妊娠頭数/治療頭数)は,外部徴候によって異なり,無発情型は最高で83.3%,次いで持続性発情および思牡狂型で78.3%,不規則発情型は最低で66.7%であった。
  • 高山 精次, 深沢 幹雄
    1974 年 20 巻 3 号 p. 111-114
    発行日: 1974/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ラット精巣のピアルロニダーゼの抽出精製法として硫安分画法とDEAE-セルロースによるカラムクロマト法の併用により酵素活性を失わせることなく効率よく単一な分画を得ることができた。また分画について電気泳動および免疫電気泳動によって検討した結果,5種以上のアイソザイムの存在を明らかにした。
  • 和田 恭則, 紫野 正雄
    1974 年 20 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 1974/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    卵胞液性状について,色調を観察するとともに蛋白分画,尿素態窒素および無機イオン濃度を測定し,次の結果を得た。
    1. 卵胞液の色調は,一般に淡黄白色~淡黄色を示し,無色および着色卵胞液を比べた場合,含有成分の濃度が著しく異なることを認めた。
    2. 卵胞液中T.P.は血清中のそれより低く,両者間に正の相関関係を認めた。
    3. 卵胞液を電気泳動でしらべた結果,アルブミン分画に相当する位置に血清泳動像にはみられない特異的な泳動像を認めた。
    4. 卵胞液中B.U.N.は血清中のそれより低く,両者間に正の相関関係を認めた。
    5. 卵胞液中Na濃度は血清中のそれより低い値を示すことを認めた。
    6. 卵胞液中K濃度は卵胞の大きさに伴い低下することを認めた。
    7. 卵胞液K/Naは卵胞の大きさに伴い低下することを認めた。
    8. 卵胞液中Mg濃度と血清中のそれとの間には正の相関関係を認め,また卵胞液中Mg濃度は卵胞の大きさに伴い低下する傾向を認めた。
    9. 卵胞液の成分は,血清に由来するものがかなりあるが,その濃度は卵胞自身の機能によっても影響されることが示唆された。
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