家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
卵胞嚢腫牛の副腎皮質機能に関する研究
主としてACTH負荷試験と11-OHCS血清値について
宮沢 清志小野 斉三宅 勝佐藤 邦忠
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1975 年 20 巻 4 号 p. 138-143

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抄録

卵胞嚢腫牛の副腎皮質機能を検討するため,昭和44年8月から45年5年月までの間に,帯広畜産大学附属第1農場ならびに十勝管内音更町,更別村の一般農家に飼育されている乳牛についてACTH負荷試験,DEMOORの神戸川変法による血清11-OHCS値を測定した結果,次のような結論を得た。
1. 天然ACTH負荷により,5頭の対照牛では,著明な血清11-0HCS値と白血球数の増加ならびに好酸球数の減少が見られたが,8頭の卵胞嚢腫牛では,これらの変化は明瞭でなかった。
2. 25頭の卵胞嚢腫牛に対する迅速ACTHテストの結果は,5頭のみが血清11-0HCS増加量5.6μg/dl以上で,これらはすべて治癒したが,20頭は血清11-OHCS増加量5.6μg/dl以下で,このうち治癒は10頭にとどまった。
3. 午前9時から12時までの間に採血した黄体期の24頭の対照牛の血清11-OHCS値5.3~9.1μg/dlを中等値とし,これ以上を高値,以下を低値として,64頭の卵胞嚢腫牛の血清11-OHCS値を分類し,治癒i率との関係を調べたところ,高値群では17例中17例(100%)中値群では22例中17例(77%),低値群では25例中11例(44%)が治癒した。

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© 日本繁殖生物学会
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