家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
20 巻, 4 号
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  • 泉水 直人, 梅村 建夫, 水野 秀夫
    1975 年 20 巻 4 号 p. 125-131
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    Wistar系ラットを用い,人為的に胎子数を調整したものについて産子数と分娩日および分娩時刻との関係を観察した。飼育は約25°C,照明14時間(点灯6:00~20:00)の動物室で行ない,固型飼料と水は自由に摂取させた。3~4月令で交配し,腟垢中に精子の存在を確認した日を妊娠第1日とし,個別ケージに移した。妊娠8日目に開腹し,子宮壁上からピソセットを用いて着床胎子を押しつぶし,いろいろの数の胎子数に調整した。一部のラットは開腹し,着床胎子数を検したまま縫合した。妊娠20日からケージを飼育室と同条件の観察室に移し,徹夜の観察に備え,できるだけ頻繁にかつ注意深く分娩を観察した。消灯期には必要最少限の照明(懐中電灯)を用いた。第1子の娩出をもって分娩開始時刻とした。一部のラットは直ちに供試し,子宮内の残存胎子数との合計を産子数とした。他のラットは全胎子の娩出を待ち,分娩時間を記録した。総べて供試後子宮を点検した。
    総数85例について,分娩は妊娠22日から24日までに分布したが,産子数の少ないものが遅い傾向を示し,産子数1から10までの71例について,産子数(X)と妊娠期間(Y)との間には有意な相関が認められ(-0.602,P<0.01),Y=23.46-0.17Xの直線回帰が得られた。
    分娩時刻は第1子の娩出を確認できたもの66例中62例(92.4%)が照明期で,僅か5例(7.6%)が消灯期であった。第1子の娩出を確認できなかった推定例を加えた場合も,85例中79例(91.8%)が照明期の分娩であった。さらに分娩日に拘わらず,照明期の中でも特に11:00~15:00の間に分娩のピークが見られた。このことは分娩発来に光依存性の日周リズムが存在する可能性を示唆するかもしれない。
    第1子娩出から全子娩出終了までの所要時間(Y,分)と産子数(X)については,44例中1例において261分という長時間のものがあったが,YとXとの間に有意の相関が認められ(0.348,P<0.05),その回帰直線はY=53.02+4.55Xとなった。
    従来の報告との関連でこれらの結果について論議した。
  • 大竹 通男, 菊間 利治, 野本 貞夫, 百目鬼 郁男, 中原 達夫
    1975 年 20 巻 4 号 p. 132-137
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    めん羊において,蒸留水に溶解したPGFを静脈,筋肉および皮下注射して,この処置の性周期に及ぼす影響ならびに処置後の初回発情期における受胎性について検討して,つぎの成績を得た。
    1. 性周期の7日および8日目に24時間の間隔で2回,総量10mgあるいは15mgのPGFを静脈注射した2頭の次回発情は,処置後それぞれ8日および6日目で,性周期の著しい短縮はみられなかった。総量10mgのPGFを同様に筋肉注射した2頭の性周期は,それぞれ9.5日および13.5日に短縮した。しかし,総量6~27mgのPGFを3回分割皮下注射した7頭は,1頭を除いて全例が処置後1~2日目に発情して性周期は8~10日に短縮した。これらの成績からPGFの黄体退行作用は3回分割皮下注射法において最も効果的であることを認めた。
    2. 性周期の3日ないし13日の間に総量12~17mgのPGFを3回分割皮下注射した16頭のうち12頭が,処置後1~2日目に発情した。発情の発現が遅れた他の4頭のうち3頭が月令7ヵ月の当才羊であることが注目された。なお性周期の2日および3日目に同様に処置した2頭の性周期には変化はみられなかった。
    3. PGF処置後1~2日の間に発現した発情期に交配した19頭のうち9頭(47.4%)が受胎した。
    4. 以上の成績から,PGFによるめん羊の発情同期化が技術的に可能であることを認めた。
  • 主としてACTH負荷試験と11-OHCS血清値について
    宮沢 清志, 小野 斉, 三宅 勝, 佐藤 邦忠
    1975 年 20 巻 4 号 p. 138-143
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    卵胞嚢腫牛の副腎皮質機能を検討するため,昭和44年8月から45年5年月までの間に,帯広畜産大学附属第1農場ならびに十勝管内音更町,更別村の一般農家に飼育されている乳牛についてACTH負荷試験,DEMOORの神戸川変法による血清11-OHCS値を測定した結果,次のような結論を得た。
    1. 天然ACTH負荷により,5頭の対照牛では,著明な血清11-0HCS値と白血球数の増加ならびに好酸球数の減少が見られたが,8頭の卵胞嚢腫牛では,これらの変化は明瞭でなかった。
    2. 25頭の卵胞嚢腫牛に対する迅速ACTHテストの結果は,5頭のみが血清11-0HCS増加量5.6μg/dl以上で,これらはすべて治癒したが,20頭は血清11-OHCS増加量5.6μg/dl以下で,このうち治癒は10頭にとどまった。
    3. 午前9時から12時までの間に採血した黄体期の24頭の対照牛の血清11-OHCS値5.3~9.1μg/dlを中等値とし,これ以上を高値,以下を低値として,64頭の卵胞嚢腫牛の血清11-OHCS値を分類し,治癒i率との関係を調べたところ,高値群では17例中17例(100%)中値群では22例中17例(77%),低値群では25例中11例(44%)が治癒した。
  • 古館 専一, 橋本 祷, 星冬 四郎
    1975 年 20 巻 4 号 p. 144-148
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1) 照明14時間(05:00~19:00時)の条件下で発情休止期2日(D1, D2),発情前期1日(PE),発情期2日(E1,E2)の5日周期を描くラットでは,排卵のための視床下部興奮はE1の15:00~18:00時頃発生し,排卵はE2の02:00時から06:00時頃に起こる。また,交尾の時期はE1の夕刻から夜半と推察される。
    2) 卵巣のprogesterone分泌は排卵前日に当るE1の10:00時から視床下部興奮発生直後(20:00時)にかけて著増し,4日周期の場合と一致する成績が得られた。排卵後のD1における卵巣のprogesterone分泌には,両周期間で差はなかったが,D1からD2にかけて5日周期でprogesteroneで分泌が増加するのに対し,4日周期では減少した。卵巣の20α-OH P分泌には,著るしい変化は認められなかった。
    3)下垂体摘除実験成績から,5日周期のD1からD2にかけての卵巣のprogesterone分泌の増加には,下垂体因子が関与すると判断される。
  • 川上 静夫, 大地 隆温
    1975 年 20 巻 4 号 p. 149-151
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1. 乳牛の穎粒膜細胞はin vitroで継代培養が可能である。
    2. 培養前の穎粒膜細胞は球状を呈しており,人工培養した場合は底面に付着し扁平となるが遊離させた場合は短時間で球状となる。
    3. in vitroでは長期にわたり増殖分裂を維持することから生体内においては,諸種の因子に支配されていることが示唆された。
    4. 穎粒膜細胞培養液中には,今回用いた検出法の範囲ではエストロジェソは認められなかった。
  • 鳥居 隆三, 藺守 龍雄
    1975 年 20 巻 4 号 p. 153-164
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    以上実施したウシの末梢血中PとEs、およびFkとBkの同一試料からの測定法は,精度,感度,特異性,再現性の諸点から判断し,また実施が比較的容易で,多くの検体を一度に処理しうる点からも臨床実験室における測定法として期待できる。なお,この方法はウシ以外のかなりの動物種についても適用が可能であることがほぼ推測でき,その方面への応用にも期待したい。
    本実験に関し,終始適切な御助言,御指導をいただきました東大医学部第三内科•大沢仲昭先生ならびに実験室,試薬等の提供をいただきました(財)実験動物中央研究所および同研究所の山本慧先生をはじめ,生殖生理研究室スタッフの各位に,心から御礼を申し上げます。
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