抄録
不妊牛47頭について,子宮液および子宮内膜組織中における糖質の構成,濃度あるいは酵素活性を調べ,黄体中期の正常牛4頭のそれと比較した。
1.正常牛の子宮液は,糖質濃度の平均値(mg/100ml)がグルコース47.0,フラクトース20.5,ソルビトール656.0であったのに対して,不妊症の4群(黄体•卵胞共存,卵胞嚢腫,卵巣萎縮および子宮水•粘液症)では,これらの糖質3成分がほとんど検出されなかった。
嚢腫様黄体群では3成分がほとんど検出されなかったものと正常群の値に近いものとがあり個体差が著しかった。
2.不妊群の子宮液中でソルビトール濃度が低かった個体では,子宮内膜中における本物質の産生能が低下していた。しかしソルビトールの前駆物質であるグルコースの含量およびグルコースからソルビトールへの転換に関与するアルドースリダクターゼの酵素活性は,不妊群と正常群のあいだに有意な差が認められなかった。
3.子宮内膜組織中におけるソルビトールの産生は,子宮内膜上皮が多列円柱上皮を示し,卵巣に機能的な黄体があり,大形卵胞がなかったものに一致してみられた。
4.イノシトールについては,子宮液中および子宮内膜組織中ともに不妊群と正常群のあいだに有意な差が認められなかった。