抄録
牛において,排卵後2日ないし15日の黄体期にPGF2αを連日2回(1回用量0.5~1.0 mg)あるいは1回(用量3~6mg),黄体の存在する卵巣と同側の子宮角に注入して,処置後の黄体の変化にともなう末梢血中progesteroneの消長を追求して,次の成績を得た。
1) 排卵後2~4日の黄体初期の早い時期に処置した8頭中4頭は処置後8~14日目に排卵した。処置後の血中progesterone値は,A)正常性周期におけるそれとほぼ同様のもの,B)処置後一時減少するが,ふたたび増加して以後A)と同様に維持されるもの,C)処置後暫時増加の傾向を示すが,結局早期に低下するもの,D)処置後いったん低下したのちふたたび増加するが結局早期に低下するもの,などの消長型を示した。
2)排卵後4日および5日の黄体初期に連日処置した2頭の牛は,処置後4日目に排卵した。血中pro-gesteroneは処置後急激に減少して,2回目の処置後24時間には処置前の1/3の値を示した。
3)排卵後9~11日の黄体開花期に処置した3頭の牛は,いずれも処置後4日目に排卵した。血中pro-gesteroneは処置後3時間にすでに減少の傾向を示し,24時間後には処置前の値の1/2~1/6に減少した。
4) 排卵後15日目の黄体後期に処置した2頭の牛は,処置後4日および6日目に排卵した。処置後24時間の血中progesteroneは処置前の値のそれぞれ1/2および1/8以下に減少した。
5)血中progesteroneの消長は触診による黄体の形状変化とほぼ一致した。
6)以上の成績から,PGF2αの黄体退行作用は排卵後5日以降の黄体期の牛ではきわめて顕著であるが,排卵後4日までの間の牛では弱いことが明らかにされた。