抄録
牛乳中P濃度をEIA直接法により測定し,牛乳の採取条件,性周期および妊娠にともなう変動を明らかにし,早期妊娠診断への応用を試みた。
1) 採取方法の違いにより牛乳中P濃度の違いが認められた。すなわち黄体期では,前搾り乳のP濃度は変動が大きく,混合乳,後搾り乳に比較して低値を示した(P<0.01)。混合乳と後搾り乳では差が認められなかったが,搾乳終了後時間の経過にともなってP濃度が減少する傾向が認められた。
2) 非妊娠牛における全乳中P濃度の変動には,発情期に最低値を示し,黄体期に最高値を示す一峰性のパターンが認められた。妊娠牛では,次回発情予定日を迎えても低下せず,徐々に増加する傾向で推移した。
3) 授精後21~24日目の後搾り乳を採取しP濃度5ng/mlを基準として妊娠診断を行ない,60日NR法および直腸検査法によりその診断精度を検討した。診断精度は,妊娠例で81.9%(217/265),非妊娠例で100%(121/121)であった。5~10ng/ml間の個体では,妊娠率が50%(7/14)と低く,再検査の必要があると考えられる。
このように,EIA直接法による牛乳中P濃度測定を早期妊娠診断に応用したところ,妊娠例および非妊娠例で高い診断精度が得られ,野外において十分に活用できるものと考えられる。