抄録
日本白色種ウサギの妊娠5日から満期までの22例の胎盤を用いて組織学的観察を行い,胎盤を構成する層の区分とその消長を検討した。
1. ウサギの胎盤は次の4層に区分された。子宮腔面から筋層へ向って胎盤迷路層(Placentallabyrinth),接合層(Junctionalzone),脱落膜壊死層(Decidua•zoneofnecrosis)および脱落膜分離層(Decidua•zoneofseparation)。
2. 迷路層は妊娠9日に胎膜の付着がみられた後,11日に形成が始まり,その後拡大を続け妊娠18~19日に完成される。その拡張は満期まで継続した。
3. 接合層は大形,多核,PAS陽性物質を多く含む細胞から成り,迷路層の形成と同時に出現し妊娠18~19日まで拡大を続けた。その後この層は減少を示し,妊娠28日に消失した。これらの変化からこの層は妊娠中期まで,胎仔への栄養供給の大きな部分と考えられた。
4.脱落膜は妊娠初期に間膜側子宮内膜の支質細胞から発生しており,妊娠の進行に伴い壊死層および分離層に区分される。
壊死層は妊娠13~14日で多核細胞層となり,その後核濃縮,核破砕を示す壊死化が進み,血管の拡張も進行する。この層は満期まで拡大存続することから妊娠期間を通じて母体と胎仔の関係を維持する上で何らかの重要な役割を果すものと考えられる。
5. 分離層は壊死層と同様に妊娠13~14日に形成される。妊娠の初期において,この層は単核細胞でのみ構成され脱落膜の1/2を占める。その後妊娠の進行に伴って菲薄化が進み満期には2~3層の細胞からなる網眼構造となる。後産組織の観察によれば,胎盤の剥離はこの層でおきると思われた。