家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
核置換技術を用いたマウス前核の抗低温性の検討
中村 公章角田 幸生
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1986 年 32 巻 3 号 p. 134-137

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抄録

マウス前核期受精卵を用いて低温保存後の発生率を調べ,ついで保存卵の前核を新鮮卵の細胞質に置換することによって核と細胞質の抗低温性に差があるか否かを検討した。
1.前核期受精卵を3.6°Cの冷蔵庫内に0~96時間保存した結果,24時間保存卵の2細胞期への発生率(67%)は新鮮卵(97%)と比べて有意に低下した。また,72~96時間保存卵では2細胞期への発生は全くみられなかった。
2.低温保存卵より採取した雌雄両前核を前核除去新鮮卵の細胞質に置換した結果,2細胞期への発生率は216時間保存卵を用いた場合(64%)でも96時間保存卵を用いた場合(90%)と比べて有意な差がみられなかった。また,96時間保存した前核置換卵の移植によって産子が得られた。
3.以上の結果より,マウス前核期受精卵の抗低温性には細胞質と前核で差異があり,前核の抗低温性は細胞質に比べて高いことが明らかとなった。

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© 日本繁殖生物学会
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