Cheng (1985)の精子処理法における温度と時間の関係を明確にするたあに以下3種の方法(A, B, C)で体外受精を行なった。方法Aでは修正199+羊血清液(pH7.8)で2×108精子/mlに希釈し,同液(pH 7.4)で最終精子濃度(1×109/ml)まで再希釈後39°Cで1時間放置した。方法BとCでは,2×108/mlの精子濃度(培養液:pH 7.8)で室温(20°C)または39°Cで40分放置後,方法Aと同様に最終希釈し,媒精に供した。卵子は未成熟卵子(卵母細胞)を体外成熟させて実験に供した。体外成熟率は92.7%(153/165)であった。受精率は方法A, B, Cでそれぞれ85.2%,74.5%,80.4%で3種間に有意差はなかった。本実験より,高pHの精子処理は温度(20°Cまたは39°C)に影響されないこと,また,最終希釈精子を培養液(pH 7.4)で1時間放置すれば,高pHによる処理(40分間)は必要ないことが示唆された。