家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
無形無心体と共に生れた雌牛のフリーマーチン
三宅 陽一金田 義宏金川 弘司
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1987 年 33 巻 1 号 p. 41-43

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抄録
無形無心体と共に生れた雌牛3頭の血液を培養して,細胞遺伝学的な検索を行った。その結果, 2頭に性染色体キメラ(XX/XY)が認められ, 臨床的な観察はできなかったが, フリーマーチンと診断された。他の1頭は雌型の染色体構成(XX)のみを示し, のちに子牛を分娩したことから正常雌と判定された。
これらのことから, 牛では異性双胎, 異性多胎および単胎雌でのフリーマーチンの発生に加えて, 無形無心体と共に生れた雌牛にもフリーマーチンが存在することが明らかとなった。更に, 性染色体キメラの出現は, 1)無形無心体が一卵性双胎から派生したものではなく, 卵性に起因していること,および2)無形無心体内に血球原基細胞群が存在していたことを示した。
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© 日本繁殖生物学会
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