家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
家兎片側卵巣除去実施日齢の違いが残存卵巣の代償性反応に及ぼす影響
馬庭 二郎西 明美前田 照夫寺田 隆登堤 義雄
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1989 年 35 巻 2 号 p. 113-118

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抄録
家兎片側卵巣除去実施日齢の違いが残存卵巣の代償性反応に及ぼす影響について検討した。生後30(30区),90(90区),160(160区)及び230日齢(230区)に各区8羽ずつの家兎の左側卵巣を除去した。対照区には未処理家兎8羽を用いた。250日齢に達した時点で,外陰部の腫脹により発情を確認し,各区の4羽を開腹して残存する卵巣を摘出した。卵巣表面の直径1.5mm以上の卵胞数は,片側卵巣除去区間では差が見られず,卵巣1個当たり約10個であり,対照区の約2倍であった。平均卵巣重量及び体積は90区が最大値を示し,次いで30区であり,両区と対照区との間には卵巣重量,体積共に有意差が認められた。片側卵巣除去により卵巣1個当たりの直径1mm以上の正常胞状卵胞数は,対照区の約2倍に増加した。また卵巣除去実施日齢が早い区ほど,直径1mm以下の閉鎖胞状卵胞数が増加する傾向を示した。卵巣重量あるいは体積と閉鎖胞状卵胞数との間に正の高い相関が認められた。各区の残りの4羽に発情確認後hCG20IUを投与し,その4日後に黄体数(排卵数)を確認した。全ての区の1羽当たりの排卵数は約10個であり,全区間に有意差は認められなかった。以上の結果より,家兎の幼若期における片側卵巣除去は,成熟後の残存卵巣に顕著な代償性肥大をもたらし,卵巣除去実施日齢に関係なく,残存卵巣は片側だけで正常家兎の両側卵巣の機能を十分に果たし得ることが確認された。
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© 日本繁殖生物学会
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