抄録
界面活性剤の一種であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の濃度が凍結前と後のブタ精子の運動性と頭帽の形態に及ぼす影響につき検討した。その結果,SLSの添加により凍結融解による前進精子率および正常頭帽率の低下が軽減され,融解後の37°Cにおける運動性持続時間も延長された。精子へのSLS添加時期については,第一次希釈時に1度に添加するのではなく,第一次および第二次希釈時の2回に分けて添加するか,または第二次希釈時に添加すべきであることが示唆された。希釈液としては卵黄濃度20%(v/v)のものが適当であること,またその際のSLSの適濃度は第一次および第二次希釈時添加の場合で1.2mg/ml,第二次希釈時添加の場合では2.0~2.8mg/mlであることが明らかにされた。