抄録
発情期の乳牛10頭の成熟卵胞液,血漿並びに,屠殺直後の牛で卵巣の形態が発情時のものに似ている卵巣を選び,そこに存在した成熟卵胞大の卵胞液20例についてProstaglandinF2α(PGF2α)濃度をRadioimmunoassay Kit (Baxter Travenol Diagnostics Inc.)により定量して次の結果を得た.1)発情牛10頭の成熟卵胞液中のPGF2α量は340~11,700pg/ml,血漿中のPGF2α量は130~580pg/mlの範囲で認められ,各個体別では,いずれも成熟卵胞液中の方が1.55~22.67倍の高値であった.2)屠殺直後の成熟卵胞相当大の卵胞液20例にもPGF2αが検出され,その量は231~2,000PG/mlの範囲で認められた.
以上より,牛の卵巣あるいは卵胞細胞はPGF2αの産生母地として機能していることが推定された.