日本繁殖生物学会 講演要旨集
第101回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-94
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臨床・応用技術
ウシ体外受精胚の凍結保存液への不凍タンパク質(Antifreeze Protein : AFP)添加が融解後の生存性、ハッチング様式に及ぼす影響
*鍋西 久津田 栄吉澤 慎今川 茂樹小田 弥生大田 洋西元 俊文
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抄録
【目的】不凍タンパク質(Antifreeze Protein : AFP)は、氷点下の温度域において細胞内に生成する氷結晶の表面に吸着し、その成長を抑制する働きをもつ細胞保護物質である。AFPの機能を活用した凍結技術については、食品や血液、臓器等の保存への応用が検討されているが、ウシ胚の凍結保存の影響については不明である。そこで、ウシ体外受精胚の凍結保存液へのAFP添加が融解後の胚生存性、ハッチング様式に及ぼす影響を検討した。【方法】AFPは、北海道産魚類(ナガガジZoarces Elongatus Kner)の魚肉から精製したIII型不凍タンパク質を用いた。供試胚は、と畜場で採取した卵巣由来の体外受精後7日目の胚盤胞を用い、凍結保存液として1.5Mエチレングリコール+0.2MトレハロースにAFPを0、0.25、0.5、1.0mg/ml(対照区、0.25区、0.5区、1.0区)の各濃度で添加した。凍結は0℃に設定したプログラムフリーザーの冷却槽にストローを投入し、-6.8℃までは毎分1℃、その後-30℃までは毎分0.3℃で冷却後、液体窒素に投入した。融解後は、100μM βメルカプトエタノール+10%FCS添加TCM199で培養し、24、48、72時間後の生存率、脱出胚盤胞率および24時間後の総細胞数を比較した。なお、本試験では、新たな試みとして、ガス濃度調整剤の応用(第100回日本繁殖生物学会)による簡易型タイムラプス観察システムを構築し、融解後のハッチング様式についても検討した。【結果】融解後の生存率は、0.5区が48、72時間で対照区と比較して有意に高く(p<0.05)、1.0区が24、48、72時間で他区と比較して有意に低かった(p<0.01)。融解後の脱出胚盤胞率は、0.25区と0.5区が24時間で他区と比較して有意に高く(p<0.05)、48、72時間では0.5区が対照区、1.0区と比較して有意に高かった(p<0.05)。融解後のハッチング開始時間および完了時間は、AFP添加区で早い傾向にあった。以上のことから、ウシ体外受精胚の凍結保存液へのAFP添加は、0.5mg/mlで融解後の生存性を高めることが示され、融解後のハッチング様式にも影響を及ぼすことが示唆された。
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© 2008 日本繁殖生物学会
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