日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-38
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内分泌
成熟雄ヤギ及び分娩後の雌ウシにおけるSalsolinolによるプロラクチン分泌
*澤田 建中嶋 侑佳八重樫 朋祥斉藤 隼人後藤 由希金 金Ahmed Ezzat Ahmed澤井 健橋爪 力
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抄録

【目的】我々は、ドーパミンの誘導体、Salsolinol (SAL)は成熟雌ヤギや子ウシのプロラクチン(PRL)を放出させること報告している。本研究は、これらの動物と生殖生理状態が著しく異なる雄ヤギや分娩後の雌ウシにおいても、SALがPRLを放出させるかどうかを明らかにするため、雄ヤギと分娩後の雌ウシにSALを投与しPRL放出反応を調べた。またSALによるPRL分泌機構の一端を探るために、雄ヤギを使い、ドーパミンアゴニストやL-ドーパを投与する実験も行った。
【方法】実験は5月に行った。成熟雄ヤギ及び分娩後86~116日(離乳後14~42日)を経過した黒毛和種雌ウシの頸静脈内にSAL(5 mg/kg b.w.)を投与した。また雄ヤギにブロモクリプチン(ドーパミンアゴニスト)製剤やL-ドーパ製剤を筋注したのち、SALを投与した。SAL投与後2時間頸静脈カテーテルから経時的に採血を行い、血漿中PRL濃度の変化を調べた。
【結果】(1)SALを静脈内に投与すると、雄ヤギ及び雌ウシとも血中PRL濃度は急激に上昇した。 (2) SAL投与前に、雄ヤギにブロモクリプチンを投与するとSAL投与によるPRL放出反応は抑制された。しかしL-ドーパを投与してもSALによるPRL放出反応には変化が見られなかった。
【結論】本研究の結果は、SALは成熟雄ヤギや分娩後の雌ウシでもPRLを放出させること、またSALによるPRL放出はドーパミンアゴニストにより抑制されることを示す。
本研究は平成21年度科学研究費補助金(21380169)で行われた。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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