日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-50
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内分泌
高脂肪食給餌が性腺刺激ホルモン産生細胞の長鎖脂肪酸受容体Gpr120と性腺刺激ホルモン mRNA発現に与える影響
*出浦 慎哉福嶋 伸之森山 隆太郎
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抄録

【目的】マウス下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞(ゴナドトロフ)には長鎖脂肪酸受容体G protein-coupled receptor 120 (GPR120)が局在している。これまでに我々は、血中遊離脂肪酸が上昇する絶食時にマウス下垂体のGpr120 mRNA発現量が増加すること、パルミチン酸曝露によりゴナドトロフ株化細胞LβT2でGpr120 mRNA発現量が増加し、GnRH receptor (GnRH-R) mRNA発現量が減少することを報告している(第101回 日本繁殖生物学会)。本研究では、高脂肪食給餌が下垂体のGpr120GnRH-RLHβFSHβ mRNA発現量に与える影響を検討した。 【方法】実験には12週齢のICR雄マウスを用いた。飼料に含まれる脂質:炭水化物:タンパク質のエネルギー比率は、10:70:20(コントロール食)と60:20: 20(高脂肪食)だった。1ヶ月間、自由摂食下で飼育した後、下垂体のGpr120GnRH-RLHβFSHβ mRNA発現量をReal-time PCR法で測定した。 【結果】1ヶ月間の給餌により高脂肪食群とコントロール群の体重はそれぞれ52.2 ± 3.4 gと42.2 ± 0.8 gになった。高脂肪食群ではコントロール群に比べて下垂体のGpr120GnRH-RFSHβ mRNA発現量が統計的有意に増加した。また、LHβ mRNA発現量もコントロール群に比べて増加する傾向があった。以上の結果から、血中遊離脂肪酸が増加する生理的条件下では、ゴナドトロフのGpr120 mRNA発現量が増加すること、高脂肪食給餌が性腺刺激ホルモン、特にFSHの合成を促進することが示唆された。現在、高脂肪食給餌がマウスの血中LHとFSHのパルス状分泌に影響を与えるか検討している。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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