日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-49
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内分泌
グルコースの利用阻害は下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞でGnRHレセプターおよびFSHβ mRNA発現量を抑制する
*森山 隆太郎中井 愛福嶋 伸之
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抄録

【目的】栄養は性腺機能を制御する因子の1つである。本研究ではマウス下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞 (ゴナドトロフ) が性腺機能を制御するエネルギーセンサーとして血糖値を感知すると仮説提唱して実験を行った。本研究の目的は、グルコースの拮抗利用阻害剤である2-deoxy-D-glucose (2DG) によりゴナドトロフの性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体 (GnRH-R) や性腺刺激ホルモン mRNA発現量が低下するかin vitroで検討することにある。【方法】 実験には8週齢のICR雄マウスとゴナドトロフ株化細胞LβT2を用いた。下垂体とLβT2でエネルギーセンシングに重要なAMP活性化プロテインキナーゼ (AMPK)、グルコキナーゼ (GK)、グルコース輸送担体2 (GLUT2)、GLUT4等のmRNAが発現しているかRT-PCR法で測定した。また、LβT2を5mMの2DG に24時間暴露した後、GnRH-R、黄体形成ホルモンβ鎖 (LHβ)、卵胞刺激ホルモンβ鎖 (FSHβ) mRNA発現量の変化をreal-time PCR法で測定した。さらに、エネルギーセンサーとして知られるAMPKのリン酸化をwestern blot法で観察した。【結果】下垂体とLβT2にはAMPK、GK、GLUT2、GLUT4等のmRNAが発現していた。また、2DG曝露によりLβT2でAMPKのリン酸化が誘起され、GnRH-RとFSHβ mRNA発現量が低下した。しかし、AMPK活性剤であるAICARを投与した実験では、GnRH-RとFSHβ mRNA発現量の低下は観察できなかった。以上より、マウス下垂体にはグルコースを含めたエネルギー基質の感知メカニズムが存在すること、また、グルコース利用性の低下はゴナドトロフでGnRH-RとFSHβ mRNA発現量を低下させるが、そのメカニズムにAMPKのリン酸化は関与しないことが示唆された。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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