日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-61
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卵巣
Prostaglandin (PG) F2α誘導性の偽妊娠ラットの黄体退行における黄体内因性PGの役割:phospholipase A2及びcyclooxygenase阻害薬の局所投与の効果
*薗田 憲史中原 理人米澤 智洋久留主 志朗汾陽 光盛
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抄録

本研究では、それぞれ黄体相中期および後期である偽妊娠6日目(PSP6)とPSP9の幼若ラットに、外生的PGF(PGF、30μg/head)で黄体退行を誘起した時のGroup IVA(GIVA) およびVIA(GVIA) phospholipase A2(PLA2)並びにcyclooxygenase(COX)-1,-2の阻害薬の卵巣嚢内局所投与の効果を検討した。PGF投与直前に両側卵巣嚢内に溶媒(20%DMSO加生理食塩水)を投与した対照群の血漿Progesterone(P4)濃度は、PSP6では投与12時間後に投与前レベルの33%にまで低下したが、24時間後には73%にまで回復した。一方PSP9では6時間後には43%にまで低下し、以後24時間まで低下し続けた。黄体のステロイド産生細胞と血管内皮細胞のアポトーシスをTUNEL法で検討したところ、PSP6の投与前ではTUNEL陽性割合がそれぞれ1、5%であり、24時間後には27、30%に増加した。一方PSP9では投与前がそれぞれ10、11%であり、24時間後には26、46%であった。PSP6のGIVA PLA2阻害薬(AACOCF3)投与群とGVIA PLA2阻害薬(BEL)投与群の両方で、12時間後のP4濃度が対照群と比べ有意に高く、24時間後のステロイド産生細胞のTUNEL反応陽性率は有意に低かった。一方PSP9では、P4濃度に対する両阻害薬の有意な効果は見られなかった。しかし、PGF投与後に分離した黄体をin vitroにおいて溶媒あるいは上記阻害薬を添加して培養したところ、対照群と比べ両阻害薬群におけるステロイド産生細胞のTUNEL反応陽性率は、有意では無いものの低い傾向にあった。次にCOX-2阻害薬(NS398)投与群についても検討したところ、PSP6でのP4分泌の低下とアポトーシスの出現に対し、上記PLA2阻害薬と同様な阻害効果が見られた。一方COX-1阻害薬(SC560)投与群では有意な効果が見られなかった。PSP9では、両阻害薬群でのP4分泌とアポトーシスの出現に対する効果は見られなかった。以上の本研究成績から、PGF誘導性の黄体退行では、黄体内で活性化されるGIVA PLA2/GVIA PLA2/COX-2が、P4分泌の低下と主としてステロイド産生細胞のアポトーシスを仲介していることが示唆された。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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