日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-63
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精巣・精子
種雄牛における赤外線サーモグラフィー装置を用いた陰嚢表面温度の測定
*渡辺 伸也赤木 悟史金田 正弘ソムファイ タマス
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抄録

【目的】地球温暖化の進行によるとみられる平均気温の上昇は、わが国でも各地で認められている。それに伴い、種雄牛においては、古くから知られているが、有効な解決策がまだみいだされていない夏季不妊の緩和策あるいは適応策を構築していく必要がある。本研究では、この高温障害に伴い発生する種雄牛の生態現象を明らかにするための手段として、赤外線サーモグラフィー装置による陰嚢表面温度の測定を取り上げた。【方法】畜草研で繋養中の種雄牛4頭(黒毛和種3頭およびホルスタイン種1頭)を供試し、赤外線サーモグラフィー装置(TH9100WR 、NECアビオ)を用いた陰嚢表面温度の測定条件を検討した。【結果】種雄牛の陰嚢表面温度を赤外線サーモグラフィー装置で測定するためには、首をスタンチョンに固定して、しっぽをロープなどで保定したうえで、高さが60~80cmの三脚にこの装置をのせ、後方約1mの距離から温度を測定すればよいことがわかった。牛の陰嚢表面には毛がほとんど生えていないので、測定部位を剃毛する必要はなかった。この方式により、5~25℃の環境温度下で陰嚢表面温度を測定した結果、陰嚢中心部分の表面温度は、28~32℃であった。ただし、特に陰嚢の先端部において、表面が糞尿などで湿っている場合、冬季には、その表面温度が16℃程度まで低下することがあった。今後、陰嚢表面温度を赤外線サーモグラフィー装置で継続的に測定していくことで、その温度と夏季における精液性状の悪化との関連性を検討していく予定である。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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