日本繁殖生物学会 講演要旨集
第102回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-64
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卵・受精
卵胞の直径や卵子の培養条件がブタ卵子の体外成熟中の発育に及ぼす影響
*吉川 友章加賀美 仁大島 幸陽高橋 誠之漆間 悠太レイン 恵岩田 尚孝桑山 岳人門司 恭典
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抄録

ブタやウシの卵子は卵胞の発育と共に成長し、その直径が大きくなることが知られている。ブタでは体外成熟時間が長く、この期間中に卵子の大きさがどのように変化するのか、成熟条件や卵胞の由来がこれにどう影響するのかについては明らかにされていない。本研究は、卵子の直径に卵胞の由来および体外成熟条件が及ぼす影響について検討した。方法、ブタ卵子をNCSU37培地を用いて44時間培養し、24時間と44時間における卵子の直径をキーエンスBZ8000を用いて計測した。またその時の核相についても観察した。実験1、直径、2mm以下、2-5mm、および5mm以上の卵胞由来卵子間の比較を行った。実験2、培養期間前半の卵子の成長が大きかったことから培養前半にcAMP添加、非添加区を設け比較した。実験3、成熟後PB放出の有無による差を比較した。実験4、TCM199とNCSU37間の比較を行った。実験5、NCSU37を用いてアミノ酸添加、非添加間の比較を行った。結果、卵子は体外成熟中に成長し小卵胞由来卵子においてその成長が著しかった。GV期の長さが異なるcAMP添加と非添加区の間では差が見られなかった。培養後極体放出の有無は卵子のサイズに影響しなかった。さらにNCSU37はTCM199に比べて有意に卵子が大きくなること、またアミノ酸の添加は、卵子の成長を有意に促すことが示された。これらのことから卵子は、体外成熟中にもその直径が大きくなり、成熟培地やアミノ酸の添加がこの成長に影響することが示され、卵子の大きさの変化が成熟条件の適否を調べる指標となる可能性が示された。

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© 2009 日本繁殖生物学会
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