日本繁殖生物学会 講演要旨集
第103回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-26
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内分泌
日長と温度変化がヤギの成長ホルモン分泌に及ぼす影響
*金  金八重樫 朋祥澤田  建斉藤 隼人後藤 由希中嶋 侑佳澤井  健橋爪  力
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抄録
【目的】本研究は,日長や温度変化が反芻家畜の成長ホルモン分泌(GH)に及ぼす影響を明らかにするために,ヤギを人工気象室内で飼養し,日長や温度を変化させた時のGH分泌の変化を調べた。
【方法】成熟雌シバヤギを室温20°Cに設定した人工気象室内で,8時間明,16時間暗(8L-16D), 12時間明,12時間暗(12L-12D)及び16時間明,8時間暗(16L-8D)の人工照明下で飼養した。また12L-12Dの一定照明下で室温を25°C又は5°Cに設定した人工気象室内でもヤギを飼養した。それぞれの条件下で飼養したヤギの頸静脈内にカテーテルを留置し,15分間隔で4時間採血して血中GH濃度の変化を調べた。また各期に成長ホルモン放出ホルモン(GHRH: 0.25 µg/kg b.w.)を頸静脈内投与してGHの放出反応も調べた。GHパルスの解析はEllisら方法に従った。
【結果】(1) 照明を変化させた時,GHのパルス頻度には有意な変化は見られなかった。パルスの振幅は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区では高くなる傾向が見られた。平均GH濃度は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区は有意に高かった(P<0.05)。(2)温度を変化させた時,パルス頻度と平均GH濃度には有意な変化は見られなかった。GHパルスの振幅は25°C区に比べ5°C区の方が高い傾向にあった。 (3) GHRH投与実験においては,16L-8D区は8L-16D区に比べGH放出反応が高まる傾向が見られた。温度変化による差は見られなかった。
 本研究の結果は,ヤギのGH分泌は温度変化より,日長変化により修飾されることを示唆する。
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© 2010 日本繁殖生物学会
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